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☆Last Up 2013.12.25 版権「※BL注意※欲しいものは一つだけ-2013 A・ミシェル生誕SS-
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☆第0話 Sabbath ~魔女の集会~ ―







魔女狩り・・・・「魔女」の疑いをもたれた者が、他人の証言または本人の自白によって「魔女」と確定され、処刑されることである          





















☆ハロウィン企画週1連載雑記☆

第1話 -Witch hunt ~魔女狩り~ ―


















チェラス湖が主 魔女カナリア 国王の命 により 捕縛されたし







メイサと近隣の王国に住む全ての魔女に届いた緊急の知らせだった。
知らせを見た魔女達は驚き怒りに打ち震えた。
集会の日時は早まり、メイサも含め近隣に住むほぼ全ての魔女が集会場へ集まった。





「あら、メイサ。貴女がこんな早く集会に出席するなんて」
「メイサも気になるんだろ?魔女狩りってヤツがさ」
集会場へ着いたメイサの姿を見た魔女は必ずと言っていいほどに驚きの声をあげた。
無理もないだろう。何しろ、メイサは魔女の集会となると渋りに渋りその結果、毎回集会が始まる直前に集会場へ姿を現すのだ。
「何でも、今回捕まったのはあのカナリアだって言うじゃないか」
魔女達は口々に捕縛された魔女のことを話している。
捕縛されたカナリアと言う魔女はメイサが住む森にある「チェラス湖」の真ん中に屋敷を構えていて、「湖の主」と人間達の間で呼ばれていた。
同じ森に住んでいても国境を隔てているために、メイサとは違う国に住んでいることになっている。
「メイサもしばらく静かに暮らせるんじゃにゃいか?」
ロロが言った。
そうだ、カナリアは何故か近くに住むメイサに何かと因縁を付けてくるのだ。
メイサはさほど相手になどしていなかったが、顔を合わせるたびに何かに付けて文句を言われるようでは少々困っていた。
「静粛にせよ、これより集会を開始する」
ドンドンと集会の真ん中にある高台から杖を床に叩き付ける音と共に声がする。
いよいよ集会の始まりだ。
「みな、良くぞ集まってくれた」
一人の老婆が歩み出た。
それがこの近隣の国に住む魔女達を統べる魔女達の長、大婆と呼ばれ近隣に済む魔女達の中で最も強い力を持っているといわれている。
「みな知っての通り、チェラス湖のカナリアが王国によって捕縛された」
「大婆さま!放っておいて良いのですか!!」
何処からか1人の魔女が声をあげた。
「カナリアとて我らの同族」
「王国との協定は」
口々に魔女達が喋り始める。
右からも左からも四方八方から魔女達の疑問と怒りが混ざった声が聞こえてきた。


ドンっ!!


大婆が先ほどより強く地面を叩くと、ぴたりと魔女達の声が止んだ。
ぐるりと周りを見渡す。
もう、誰一人大婆に対して口を開く者は居なかった。只1人、メイサを覗いては。
「カナリアが住んでいた王国には魔女狩り令が出されたと聞く。それについてはいかがお考えか?」
「魔女狩り令などは建前だ、国王も即位したばかりと聞く」
メイサの問いに大婆はゆっくりとした口調で答える。
やはり、考えることは同じ。王国に出された魔女狩り令など只の建前。本当の目的は別にあるに違いない。
「やはり、我らを戦争に利用する気なのだな」
戦争、カナリアが住んでいる国とその隣国が長らく続けている身勝手で理不尽な行為だ。
多くの者が死に、家が森が焼け動物達も人間達も住む場所を追われている。
長くなりすぎた戦争を魔女の圧倒的な力を誇る魔術を使うことによって終結させる。今回の魔女狩り令とはそういう事だ。
「それならば、カナリアを捕縛しても何の意味もないな」
メイサはくすりと笑った。
「うむ、そういう事だ。カナリアは罰則中の身である」
よって、戦争になど使えはしない。大婆の言葉にその場に居た魔女達は思わず笑を零した。
カナリアは事件を起こし、大婆によって魔女の烙印の上に罰則印を記されている。
そのため、魔女としての力は普段の10分の1しか出すことだ出来ないのだ。それは魔女として最も劣勢であり、普通の人間となんら変わらないほど無力となってしまう。
「愚かな人間達。我らを戦争などのために利用などと」
会場中からくすくすと笑う声が聞こえた。
罰則中の魔女を捕まえても、戦争には使えない。
魔女の研究材料にしようにも、魔女の血は魔女の体から出た瞬間に魔力を失う。
そして人体実験をしようにも、魔女には人間の薬は効き目が皆無なのだ。
何もしなくともそのうちカナリアは開放させるだろう。魔術を使えない魔女は今の王国には必要など無いのだから。
しかし、ここで1つの疑問が浮上した。
「カナリアの使い魔は何処へ?」
そう、魔女ならば使い魔が居るはずだ。
カナリアにも何体かの使い魔が居たことをメイサは知っている。
しかし、主人が捕まったというのに肝心の使い魔の姿は何処へ行ってしまったのだろうか。
「屋敷内に隠れているよ。今、迎えの使いを送っている」
カナリアの命令か、それとも使い魔達の動物としても本能か。
カナリアの使い魔達は屋敷内の何所かへ身を潜めているらしい。主人の力が制限されれば使い間の能力も格段に下がると言われている。
それに、人間達に使い間が捕まれば確実に殺されてしまうだろう。
「しかし、何故カナリアが狙われたのか」
「そうだ、協定はどうなったのだ」
1番最初に魔女狩りの標的になったカナリア。彼女はメイサと同等の力を持つ魔女だ。
そう、そこらの魔女よりも強い力を持った魔女と言えよう。
「見せしめ、だ」
強い力を持った魔女を捕縛できれば、力の弱い魔女達に大きなダメージを与えることが出来る。
人間の方が魔女より強いと思い込ませることが出来ると人間達は考えた。
強い力を持つ魔女カナリアを捕縛したは良いが、実際は魔女達にダメージなどこれっぽっちも与えてなど出来てはいない。
カナリアは罰則中の身だと、近隣の国に住む魔女ならば誰もが知っていることなのだから。
「即位したばかりの新米国王では、我らと国の協定など知っておらぬやも知れん」
大婆が言った。
カナリアが住んでいる王国は国王が新しく即位したばかりらしい。
早く戦争を沈静化しようと思うばかりに、先代の王が大婆と交わした協定を確認していないのではないか。
「何にせよ、協定は人間によって破られた」
それ相応の制裁を与えなければならない。それが満場一致した魔女達の答えだった。














魔女狩り令についての話の後は来るハロゥインについての会議。
そしてその後は楽しく宴会。
メイサとロロが屋敷へ戻ったのは、集会場へ出発してから5日後のことだった。
埃っぽくなった屋敷中の窓を開けて空気の入れ替えをする。軽く掃除をした後は、風呂にでも入って何もせずにそのままベッドへ入る。
朝でも夜でもお構い無しに眠るのだ。楽しく騒いだ後は静かに眠る。それがメイサとロロの常識だった。
好きなだけ眠るため、放っておけば1週間近く寝ているときもある。
必ずと言っていいほど先に起きるのはメイサだ。ロロはメイサの後にパンプキンパイの匂いで目を覚ます。
今回もそうなるはずだった。
メイサが先に目を覚ますのまではいつも通りだが。
ロロが目を覚ますと、メイサは窓から森の遠くの方を目を細めて見つめていた。
「メイサ?パンプキンパイは・・・ないにゃか?」
「ああ、今作ってやる。それよりロロ」




















お客さんが団体でやってくるぞ






ロロが耳を澄ますと、聞こえてくるのは金属が草を踏む音と、ガチャガチャとうるさい音を立てる金属のよろいの音。
メイサが見ている方向を見るとひかえめにしているが、確かに松明の明かりが2つ、3つは見える。
まっすぐにメイサの屋敷へ向かってきているのは明白だ。















...第2話に続く
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小説家の卵の卵な管理人です。
日々精進、有言実行を夢見て生きてます。
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