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☆Last Up 2013.12.25 版権「※BL注意※欲しいものは一つだけ-2013 A・ミシェル生誕SS-
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※版権二次創作[BL注意] ミシェル×ヒュー(ポップン)※



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※版権二次創作 フェア+コーラル(サモンナイト4)※






1年に1度お母さんに感謝する日。
あなたはどうやって感謝の気持ちを伝えますか?




お昼ご飯を食べて、最近いつも通う場所がある。
「コーラルちゃん、いらっしゃい」
目的地はミントの家・・・の庭だ。
ぺこリとお辞儀をすると、持参したジョウロにたっぷりと水を汲んだ
一目散に向かうのは研究のために植えられてる野菜畑の隅っこに置かれた植木鉢。
「少し・・・大きくなった、気がする・・・」
ミントから貰った種を植えてから1週間。
少しずつではあるが、すくすくと育っているように見える。
「コーラルちゃんが毎日たっぷりとお水をあげてるおかげね」
いつの間にか横にしゃがんだミントが言った。
コーラルは1週間ずっと毎日毎日足を運んでは一生懸命世話をしている。
花を育てるのは生まれて初めてだが、分からない事は何でもミントが教えてくれた。
「もう少ししたら、つぼみがもっと大きくなってキレイな花が咲くよ」
少しだけ膨らみ始めたつぼみを見ながら言った。
「母の日・・・間に合う?」
コーラルは期待を含んだキラキラとした瞳でミントを見た。
「うん、きっと大丈夫!」
ミントがにっこりと笑って言った。
母の日までもう少し、キレイな花を咲かせて大好きなお母さんにプレゼントする。
それだけじゃない。母の日はコーラルがお店の1日店長になる・・・予定だ。
事の発端は1週間前。




-1週間前-


「フェア・・あのお花何・・・?」
寝室の窓辺にちょこんと置かれた小さな植木鉢がある。
植木鉢を覗き込むと、青々とした葉っぱが顔を出していた。
眠い目を擦りながらふと目に入った謎の植木鉢がずっと気になっていたのだ。
「ん?ああ、カネルの花よ」
コーラルの問いに、パンをちぎって口に運びながらフェアは答えた。
「もうそんな時期なんだね、フェアさん」
いつものようにお昼を食べに来ているルシアンが言った。
そんな時期、とはどういう事なのだろうか。コーラルの疑問は膨らむばかりだ。
「何故カネルの花なんですの?花なんてたくさんありますのに」
リビエルも疑問を口にした。
確かに、育てるのならばカネルの花で無くても良いじゃないかとコーラルも思う。
「カネルの花じゃなきゃダメなのよ」
リシェルが頬杖を付いて、ぶんぶんとフォークを振り回しながら口を挟んだ。
この時期にしかもカネルの花でなくてはいけない事。何がなんだかさっぱりだった。
「カネルの花と言えば、懐かしいわねぇ。ね、アルバ?」
「アカネ姉ちゃん!昔の事はどうだって良いだろ!」
ニヤニヤと笑っているアカネにアルバが珍しく焦って反論している。
横目でちらっとフェアの顔を見ると、困ったような悲しそうな何とも言えない表情をしていた。
それ以上何も聞けなかった。聞いてはいけない気がした。


「ルシアン・・・さっきのお話、詳しく教えて・・・」
お昼が終わって、お屋敷へ帰ろうとするルシアンとリシェルを無理矢理捕まえて、話の続きをお願いした。
さっきのフェアの表情がどうしても気になって仕方がないのだ。
「うーん、どうしよう?姉さん?」
「良いんじゃないの?別に隠しておく事でも無いし」
神妙な面持ちのルシアンとは対照的に、リシェルはけろっとした態度だ。
コーラルはじっとルシアンを見つめた。
すると、ルシアンはしばらく考えた後ゆっくりと話始めた。
「もうすぐ母の日、なんだよ」
「・・・母の日??」
聞き慣れない言葉に、コーラルを含め御使い全員が驚きの表情を浮かべた。
母の日なんて言うものは聞いた事がない。
先代の記憶や知識にもそのような物は無かった。
「知らないのも無理はないわ。だってあいつのパパが言ってたんだもん」
明らかに知らないといったコーラル達の様子に、あっけらかんとした態度でリシェルが言った。
フェアの父親が言っていた、という事は彼の故郷の世界での風習なのだろう。
それならば御使い達が知らないのも、先代の記憶や知識に無いのも無理ない。
「母の日って言うのはね。1年に1度お母さんに感謝する日なんだって。カーネーションって花をプレゼントするらしいんだけど。」
「リインバウムにはそういう花は無いし。カネルの花がその花に似てるらしいわよ」
カーネーション、確かにそれも聞いた事が無い花の名前だ。
フェアはその母の日のためにカネルの花を育てているに違いないとコーラルは思った。
けれど、フェアの母親は彼女が幼い時に亡くなってしまっているはずだ。
どうやってプレゼントする気なのだろう??
いや、それよりもお母さんに感謝する日があると言うのなら、自分も大好きなお母さんに感謝しなければならない。
「・・・僕もフェアにプレゼント・・・したい」
キレイなお花をプレゼントして、「いつもありがとう」その一言を改めて伝えたい。
「あんたにお花なんて育てられんの?」
「失礼ですわよ!リシェル!」
ポロッと思った事を口にしてしまったリシェルにリビエルが突っかかる。
確かに、自分が花を育てるなどという事が出来るかどうかわからない。
もしかしたら、枯らしてしまうかも知れない。
「お花を育てるのも・・・経験・・・」
だよね、セイロンとセイロンを見やる。
扇子で口元を隠してはいるが、いつものあの全てを見透かしたような笑みを浮かべてるに違いない。
実は母の日も知っていたのではないかとさえ思えてくる。
「それならミントさんの所に行くと良いわ。フェアも毎年ミントさんに種を貰ってるはずだから」
グラスのジュースを一気に飲み干すと、リシェルが言った。
ここからコーラルの初めての母の日プレゼント作戦が始まったのだ。





「・・・早く大きくなぁれ・・・」
小さく呟いて、1番日当たりの良さそうな所へ植木鉢を動かす。
野菜を取りに来たフェアに見つかっては作戦が台無しなので、後で戻しておいて貰えるように頼んでミントの家を後にした。
もうすぐお昼休憩が終わる時間だ。
いつも以上にフェアにくっついて、仕事をしっかりと見ておかなければならない。
何故ならば、花をプレゼントしただけではコーラルの母の日は終わらないからだ。


それから毎日毎日コーラルはミントの所へ通った。
少しずつ大きくなるカネルの花を見て、フェアの笑顔を思い浮かべる。
キレイな花を咲かせる事が出来れば、きっとフェアは喜んでくれる。その一心だった。
「ねぇ、オヤカタ?きっとフェアちゃんは喜んでくれるよね?」
「ムイムイ!」
だって、コーラルちゃんはこんなに頑張っているんだもの。
毎日花の世話をしに来るコーラルをミントは優しい眼差しで見つめていた。



そして、母の日当日。
フェアは寝室で困り果てていた。
と言うもの。今朝珍しくコーラルが自分より早く起きていると思うと。
「・・・今日は僕達が頑張るから、フェアはお休み・・・」
と、言われ厨房から追い出されてしまったのだ。
ずっと働き詰めなフェアにとってお休みと言われても何をしたら良いのか。
「皇子様!シーツが逆さまですわ!」
「ちょっと、グランバルドォ?洗濯物落として歩かないでよ」
「ポムニットさん!!!!お鍋!お鍋!!」
さらに、家の至る所から聞こえてくる声に外の様子が気になって仕方がない。
出て行ってしまいたいのはやまやまだが、そうすると皆のせっかくの好意を踏みにじってしまう。
でも気になって気になって仕方がない。
「あ、カネルの花今年もキレイに咲いたなぁ・・・」
朝水をやるだけで、じっくり様子を見る事が出来なかった窓辺の植木鉢。
今年もピンク色のキレイな花が1輪風に揺れている。
その様子を見ているとなんだか妙に眠くなって来て、自然と瞼が重くなっていった。
みんな大丈夫かな?ミントお姉ちゃんも来てくれるって言ってたし、アルバも居るし。
眠りに落ちるまどろみの中でそんな事を考えていた。


母の日の今日はコーラルが1日店長だ。
と言っても、流石にに料理は作れないので、料理はポムニットとミントにお願いしている。
コーラルは他のみんなと一緒に料理を運んだり、掃除をしたり、洗濯をしたり。
とにかくいつも以上に率先して動いた。
寝室に入ったっきりで静かだけど、フェアはゆっくり休めているだろうか。
みんなの力を仮ながら何とか仕事をこなしながら、コーラルはそんな事を考えていた。
バタバタと慌しく動いていると、気が付くともうすぐお昼休憩の時間だ。
「ありがとうございましたー」
ランチの最後のお客さんを見送った後、コーラルはこっそりと寝室を覗いてみた。
ベッドの上で気持ち良さそうに寝ているフェアを見つけた。
起こさないようにそーっと扉を閉めて寝室に入ると、じっとフェアの寝顔を見つめた。
いつもコーラルより遅く寝て、コーラルよりも早く起きて働くフェア。
そんな彼女の寝顔を見る事が出来るのは非常に珍しいことだ。
ゆっくりと寝かせてあげたいが、そろそろお昼なので起きてもらわなければならない。
「・・・フェア、フェア起きて・・・お昼ご飯だよ」
ゆさゆさと体を揺すった。
やはり、相当疲れているのだろうか。なかなか起きてくれない。
「フェア、ご飯だよ・・・」
もう1度フェアの体を揺すった。
「うーん・・・?・・・コーラル??」
眠そうな目を擦って、フェアが目を覚ました。
ゆっくり休んでと言った手前、無理矢理起こすのは気が引けてしまうが。
起こさずに寝ていたせいでご飯を食いぱぐれるのはもっと気が引ける。
「お昼、食べよう?」
起き上がる手助けをしながら、フェアに言った。
フェアのこんな姿を見られるのは僕だけの特権だよね?そんな事を考えているのは内緒だ。

「遅いわよー!もうお腹ぺっこぺこだわよ」
フォークとスプーンを持った両手でどんどんとテーブルを叩きながらリシェルがぶーたれる。
テーブルにはポムニットお手製のお昼ご飯が並べられていた。
「フェア、今日はゆっくり休めていまして?」
「お休みなんて本当に久しぶりだからみんなの事が気になっちゃって」
リビエルの問いにフェアは正直に答える。
「そんな事言って、どーせ寝こけてたんでしょおー?寝癖付いてるわよー」
「良いじゃない?ちゃんと休めてるみたいだし」
リシェルのちゃちゃをフォローするようにルシアンが言った。
確かにさっきまでスヤスヤと気持ち良さそうに寝ていた、とコーラルは思う。
いつも無理をしているフェアが少しでもたった1日でも休めているなら嬉しい。
「でも、午後は何をしようか全然決めてないの。まさか寝て過ごしちゃう訳にもいかないし」
「全く、贅沢な悩みですわ」
困ったように笑うフェアに、呆れたようにリビエルが言う。
しかし、それだけ休み無く働く彼女にとって、仕事をしないと言うのは考えられない事なのだ。
「では、久しぶりゆっくりトレイユの町をお散歩なんてどうでしょう?」
コレは名案と言わんばかりに、ポンッと手を叩いてポムニットが言った。
「今更町を散歩して何が面白いのよー」
「ゆっくりとお散布するだけでも違った何かが見えてくるかも知れませんよ?」
しかし、リシェルがいともあっさりと切り捨てにかかる。
いつもならばここで引き下がるポムニットだが、今回はなんとか食い下がった。
コーラルとしては、フェアに散歩に出てもらった方が都合が良い。
こっそりと育てていたカネルの花の植木鉢を、これまたこっそりとミントの家から持ってくる事が出来るからだ。
「散歩かぁー。うん、参考にさせてもらうよ」
「ええ、是非にそうして下さいまし!」
ポムニットは満足そうに笑った。



みんなでお昼を食べた後。コーラルは一人ミントの家へ向かっていた。
大切に育てカネルの植木鉢をこっそりと運ぶためだ。
昨日までに大きく膨らんでいたつぼみはすっかりと花開いて、真っ赤な花が咲いていた。
「お花・・・咲いた・・・」
「コーラルちゃんが一生懸命お世話したからだよ」
生まれて初めて育てた花は、思わず見とれてしまうくらいにキレイだった。
自分にも花を育てる事が出来たという事が、なんだか嬉しく感じる。
「よし、じゃあリボンを付けてっと。フェアちゃんに見つからないうちに移動しようか」
「こっちは・・・ここに付けて・・・」
ミントが花と同じくらい真っ赤なリボンを植木鉢に付けてくれた。
その袖をくいくいと引っ張って、隣の植木鉢を指差す。
「こっちは切ってしまっても良いの?」
ミントの問いにコーラルはこくんと頷いてみせる。
この日のために育てたカネルの花は一つだけでは無かった。
一生懸命考えた母の日作戦に用意した花は二つ。
どちらもフェアのためにコーラルが一生懸命育てた花だ。
何故二つも用意したのかはミントにも解らないが、コーラルによればこれが今回の最大のサプライズらしい。
「はい、これで良いのかな」
一つは植木鉢に赤いリボンが、もう一つは一輪の可愛らしい花束に。
二つの花はそれぞれ異なる姿のプレゼントになった。
「・・・ありがとう」
「どう致しまして!それじゃ、そろそろ行きましょうか」
優しく微笑むミントに、控えめにお礼を言うとぺこりとお辞儀をした。
プレゼントの用意はバッチリだ。フェアは喜んでくれるだろうか。
そんな事を考えながら植木鉢を抱え込むと、ミントの後に続いてその場を後にした。
アルバが散歩に連れ出してくれているはずのフェアに遭遇しないように、細心の注意を払いながら。
「(お花・・・何処に置いたら見つからないかな・・・)」
悩んだ末に見つけた場所は、宿のカウンターの下。
そこなら今日は大丈夫なはず、そう思った。


ディナーの時間が終わり、最後のお客さんを見送るとようやっとみなの夕飯の時間だ。
プレゼントをお披露目する時間が刻一刻と迫るにつれコーラルは妙にそわそわしてしまう。
なんて言って渡そうか。ちゃんと「ありがとう」と言えるだろうか。
「(お母さん、いつもありがとう・・・。お母さん、いつもありがとう・・・)」
心の中で何度も何でも復唱をする。食事中のみなの会話など耳に入らぬほどに緊張していた。
夕飯の時間が終わり、食器を片付けた後。
コーラルはこっそりと隠して置いたカネルの花を持って、忍び足でそーっとフェアの真後ろに立った。
「フェア・・・あのね・・・」
声を掛けてから、服を掴んでくいくいと引っ張った。
「わっ!!コーラル、どうしたの?」
「コレ・・・母の日・・・プレゼント・・・」
驚いた表情で振り向いたフェアに一生懸命育てたカネルの花の植木鉢を差し出した。
フェアは今どんな顔をしているだろうか?緊張して、ぎゅっと目を瞑ってしまった。
ふわっと、暖かな感触がしたと思い恐る恐る目を開けると、植木鉢ごとフェアに抱きしめられていた。
「ありがとう、コーラル」
耳元で聞こえたフェアの声は微かに震えているような気がした。
喜んでくれているのだろうか。迷惑だったのだろうか。
ちらりとアルバの顔を見るとにっこりと笑って、小さくガッツポーズをしている。
「フェア・・・嬉しい・・・?」
「すごくすごく嬉しいよ!」
コーラルの問いにフェアは笑顔で答えてくれた。
それは、コーラルが見たかった最高の笑顔だ。
カネルの花プレゼント作戦は大成功だが、コーラルからのサプライズはもう一つある。
それらも成功させるために、コーラルはもう一度フェアの服を引っ張った。
「・・・母の日まだ・・・終わりじゃないよ・・・」
もう一つのサプライズ、それにはあの花も必要だ。
コーラルが母の日を知るきっかけとなったあの花が。


コーラルがフェアを連れて向かった先。
今はすっかり水が濁ってしまい町の住民からは「ドブ池」と呼ばれている場所。
そう、「望月の泉」だ。
「フェアが・・・お花育ててたのは・・・ここへ来るためでしょ・・・?」
何故かは解らないが、毎年大切に育てたカネルの花を泉に入れていると。
これはルシアンから聞いた話だった。
こっそりと持ち出したフェアが育てたカネルの花をそっと差し出した。
「そのために、リボン・・・付けてた、違うの?」
「・・・そうだよ。ここにお母さんが居る訳じゃないけど、思い出の場所だから」
お母さんに届く気がするんだ、そう小さく呟いく。
目の前のピンクの花をきゅっと握り締めた。
「・・・僕も、フェアのお母さんに・・・お花持って来たよ・・・」
ミントにラッピングして貰った花束を見せた。
フェアとフェアの母親似届くように願いを込める、これがサプライズの最後だ。
本当に届くかどうかなんて解らないけれど、きっと無意味なんかではない。
フェアがそう信じるのなら、コーラルも信じたい。たったそれだけだ。
「ありがとう・・・。お母さんに届くと良いな・・・」
きっと届く。そう願いを込めた花束を今年は二つ。
そっと泉に浮かべた。

「・・・お母さん、いつもありがとう」




全てのお母さんに感謝の言葉を・・・


END















七月七日の七夕に願いを書いた短冊を笹に吊るすと星が願いを叶えてくれる。
そう教えられた。
天の川を渡って織姫と彦星が年に一度だけ再会できる・・・特別な日。
そんな七夜の彼方の願い事はなんですか?







































☆七夕小説ー七夜の願い事ー☆


























「食堂の笹に吊るすから、お願い事書いてね」
数時間前にそう言って手渡された長方形の黄緑色の紙。
たった今のコーラルの悩みのタネだ。母親代わりのフェアに渡され、頷いたものの肝心な願い事が見つからない。
紙をじーっと見つめたり、部屋をトコトコと歩き回ったりしてみるが、一向に願い事は見つからなかった。
「そうだ」
ぽんと手を叩くと、おもむろに部屋を出て行った。
見つからないのならみんなの願い事を参考にしてみよう。そう思いついたのだ。
食堂へ降りていくと大きな笹がドンっと置いてある。しかし、肝心の願い事を書いた短冊がまだ一つも吊るされていない。
笹の下に飾りの入った箱が置いてあったが、コーラルが渡されたような長方形の紙・・短冊は一枚も入っていなかった。
「おや、皇子(みこ)殿(どの)」
「セイロン・・・」
笹の周りをきょろきょろしていると、後ろから御使いの一人のセイロンがいつの間にかコーラルの後ろに来ていた。
セイロンを見上げると扇子を持った逆の手にコーラルが渡された紙と同じような赤い紙を持っている。
「店主殿に渡された短冊を吊るしに来たのだが・・・まだ準備が出来ておらぬようだ」
赤い短冊をひらひらと宙になびかせてコーラルの後ろにある大きな笹を見上げた。
どうやら、セイロンはコーラルが見つけられない願い事をもう見つけてしまっているらしい。
「セイロンの・・・オネガイゴトって何?」
ひらひらと動く紙に合わせて顔を動かしながらコーラルがセイロンに問うた。
セイロンは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに何かを悟ったかのように笑った。
「我の願い事でございますか。後で、ここへ見に来ると良いでしょう」
それから、コーラルの耳元へ近づくと「我以外の者へ聞いた方が参考になりましょう」そう言ったのだ。
どうやら口答する気は無いらしい。セイロンは笹へ短冊を吊るすのを止めると、そのまま何処かへ行ってしまった。
願い事を必死に考えているコーラルを残して。








あれから数十分が過ぎ、セイロンの助言通りに思いつくか限りの仲間のところへ出向いていた。
最初に御使いの一人であるリビエル、その後にはもう一人の御使いのアロエリの所へ。
「わたくしの願い事なら、たった一つですわ。もっと立派な御使いへ成長することです」
「オレの願いですか。戦士として、御使いとしての精進。そして何より、敵を倒すことです」
御使いとして真面目に勤め、少しでも成長しようとしている二人の願い事はコーラルの願い事探しにはあまり
参考にはならないのかも知れない。
でも、少なくとも自分のために頑張ろうとしている彼女達の願いは立派だとも思う。
次は食堂でご飯をがっついているシンゲンに話を聞いてみることにした。
「私はもう、真っ白いご飯と美味しい梅干があれば!何にもいりませんよ」
それは、願いではない。コーラルはそう思ったが、あえて口には出さずに美味しそうにご飯を食べるシンゲン
を見つめていた。
その後、裏庭でアルバを見つけたがあいにく剣の修行中だった。
邪魔をしては悪いと思い次の誰かを求めて歩く。気付くとミントの家の前まで来ていた。
「コーラルちゃん?どうしたの?」
庭でさまざまな世界の野菜を育てている蒼の派閥の召喚士であるミント。
彼女からは少なからず参考になる願い事が聞けそうなそんな気がしていた。
「私のお願い事?そうねぇ・・・もっとお野菜の研究が出来るようになれば良いな」
にっこりと微笑むと畑の方に目をやる。オヤカタもうんうんと頷いていた。
「それとね。早く、戦いが終わると良いな。そうしたら、もっとコーラルちゃんともたくさんお話が出来るもの」
ミントの言葉で少しだけわかった気がした。何かが思い浮かんだような気がした。
でも、その何かはすぐに泡のように消えてしまう。わかりかけたコーラルの願い事。









ミントの家から帰ってくると、裏庭にいたはずのアルバが居なくなっていた。
どうやらコーラルが出かけている間に剣の修行は終わってしまったらしい。
アルバの部屋へ行くと今度は剣の手入れの最中だった。
ひかえめにノックをしてドアから顔を出すコーラルをアルバは快く迎え入れてくれる。
「おいらの願い?やっぱり、立派な騎士になることかな」
見習い騎士のアルバの夢でもある願いだった。
「そうか、コーラル。短冊に書く願い事が決まってないのか?」
ズバリと確信を突かれてしまったが、コーラルはこくんと頷いた。ずっと、ずっと考えているが見つからない。
いろんな仲間に聞いたことなど、今までの経緯を全て話した。
それでも、コーラルの願い事は見つからない。ミントのところでわかりかけたものは一体なんだったのだろうか。
「そうだな。願い事なんてのは、今の自分がどうしたいかで良いんじゃないのかな」
「僕の・・・したいこと?」
アルバが頷く。コーラルはじっと考えてみた。今の自分がしたいことをゆっくり、ゆっくりと考えてみる。
アルバは剣の手入れを終えるとそんなコーラルの様子を何も言わずに見守った。
今のコーラルはフェアや仲間達と一緒に毎日を過ごしていられる事で幸せ。何も望むものなんて無い。
少なくとも今は一緒にいられる。
では、これから先はどうなるのだろうか。明日敵が攻めてきて、自分はみんなと離れ離れになってしまうかもしれない
そんなことはきっとフェアが許しはしないだろう。何があったって、コーラルを敵に渡しはしないはずだ。
他の仲間だって、コーラルを守るために全力を尽くしてくれる。
戦いが終わった後、フェアは自分の事を今と同じように接してくれるだろうか。
もう子供じゃないと突き放したりはしないだろうか。
何故だかそんな不安ばかりが頭を駆け巡った。
「僕は・・・ずっとみんなと居たい。ずっと、フェアの・・・お母さんの子供で居たい」
思わず出た言葉。
ハッとして、アルバを見ると何故だかにこにこと笑っている。
「それで、良いんじゃないかな」
「え?」
アルバの予想もしない言葉にコーラルは驚いてしまう。
怒られると思っていた。こんな身勝手な願いを口にしてしまったことを。
みんなは戦いを終わらせるために一生懸命戦っているのに。
他でもない、町の平穏とコーラルを守るために。
でも、戦いが終わってもみんなと一緒に・・・フェアの子供でいたい。その願いは本心だった。
「みんなと一緒に居たい。すごく、コーラルらしい願いじゃないか」
「でも・・・・身勝手だよ・・・?」
「身勝手なもんか!戦いが終わっても・・・・ってそういうことだろ?」
くしゃくしゃとコーラルの頭を撫でると、確認するようにアルバがコーラルの瞳を覗き込む。
コーラルは黙ってこくんと頷いた。







急いで短冊に願い事を書き込むと、食堂へ下りていく。
すると、リシェルやルシアンがフェアと一緒に綺麗に笹に飾り付けをしていた。
良く見ると、すでに短冊が数枚吊るされているのがわかる。ふと見るとセイロンがにこにこと微笑んでこちらを見ていた。
その目はまるで「お願い事は見つかりましたか?」と言われているようだ。
「フェア・・・オネガイゴト書いて来たよ」
ワザと裏返しにしてフェアに手渡しする。すると、短冊に穴を開けて紐を通してくれた。
「好きな所へ吊るしてみて!何処が良い?」
大きな笹を見上げて、吊るす場所を探す。あまり他の仲間が見える所には吊るしたくない。
なんだか、ちょっぴり恥ずかしい気持ちだからだ。
「あそこ・・・」
「って、あんな高いところに誰が吊るすのよ」
コーラルが指差したのは大きな笹の天辺より少し下。かなりの高い位置で普通の人間なら先ず届かないような所だ。
リシェルがびっくりして声を上げる。肩車をしても届くような位置ではない。
「アロエリ・・・僕を抱えてあそこまで行ける?」
「皇子様をあのような場所へお連れするくらいなら!オレが吊るしてきます!!」
落ちたら軽傷では済まないのだ。竜の子を守る御使いがそんな危険を犯すようなは所へ連れて行ってくれる訳が無い。
アロエリはコーラルに短冊を渡してくれるように説得をしようとした。
「お連れしてさし上げなさい。アロエリ」
「しかし!セイロン!!」
黙って見ていたセイロンがアロエリに連れて行くように促す。
アロエリは不満そうにセイロンを見た。リビエルも何かを言いたそうにセイロンを見ている。
「我にはお主が皇子殿を落とすなどといった失敗はしないと、踏んでおるのだが?」
扇子を広げるとアロエリに向かって言う。竜の子を守る御使いが守るべき竜の子に怪我を負わせるなどありえないはず。
ましてや真面目な性格のアロエリだ。コーラルを落とすなどそんな失態をするわけが無い。
コーラルもセイロンと同じ確信を持っていたのだ。
「それに皇子殿の願いはそれだけ叶って欲しいものだと我は思うておる」
「どうして・・・・?」
「なぁに。ちょっとした小言よ。願いを書いた短冊は、高い所へ吊るすと良い・・・・とな」
扇子で天井を指し示して言った。
コーラルはじーっと無言の訴えをアロエリに向けている。アロエリは多少困り果てている様子だ。
リビエルがなおも何か言いたそうなのをルシアンが必死に宥めていた。
「わかりました。お連れしましょう。今回だけですよ?皇子様」
コーラルの無言の訴えにとうとう折れたアロエリはしぶしぶ承諾してくれた。
今回だけという条件にコーラルはこくんと頷く。
セイロンの話が本当であっても、そうでなくても。何故だか高いところへ吊るしたらこの願いが叶うのではないか。
そんな確信も何も無い思いがコーラルの頭を掠めた。
探して、探して、やっと見つけたコーラルの願い事。
叶うかどうかはわからないけれどほんの些細な願い事を笹に、星に託してみるのも悪くわない。
自分の短冊を吊るすついでにセイロンの赤い短冊を探してみるが、高いところには見当たらなかった。
結局のところコーラルにも他の誰にも自分の願い事を教える気はセイロンにはなかったのかも知れない。
「みんなのお願い・・・叶うと良いな」
誰にも聞こえないように一人呟いてみる。自分の願いだけでなくみんなの願いも叶うと良いと思う。
みんなの願い事も、自分の願い事も巡る星がきっと叶えてくれるだろう。
必死に考えたコーラル自身の願い事。思えばすっと願い事を考えていた気がする。
そんな生まれて初めての七夕だった。































「フェアやみんなとずっと一緒にいられますように。ずっと、フェアの子供でいられますように
                                       コーラル」










































素敵な素敵な彼方の願い事。
きらめく星達が叶えてくださいますように。



















END






















※こちらはぬるい・・・というかほぼギャグに近いですが、ポップンのBLカプ話が出てきます。苦手な方はご注意下さい。





















「はぁーーーーーーー」
学校に着くなりドサッと机の上に鞄を置き、うな垂れるようにため息をついた。いつも元気なキャロにしては珍しいと、アリスがキャロの顔を覗き込む。
「どうしたの?」
椅子に座り頬杖を付くと、キャロはアリスを見上げた。
「聞いてくれるか・・・?親友よ・・」
「聞いてあげるわよ」
キャロの前の席の椅子を引っ張りだすと、向かい合うように座る。
「実はね・・・・」








昨日の話だ。
キャロは部活を終えると、まっすぐに家へと向かう。途中の道でアリスと別れた後も寄り道などしなかった。そのせいか、いつもよりも早く自宅へ着いてしまったのだ。
鍵を開け、玄関に入ると兄のヒューの靴の横に黒い男物の靴が一足置いてある。
(ミシェルさん来てるんだ・・)
ミシェルが来ていることは不思議なことではない。兄のヒューの恋人だからだ。革靴を脱ぎ、廊下を歩くと戸が閉まっているリビングの向こうから、なにやら言い争い・・・・というのか。ヒューの大きな声が聞こえてくる。
「ちょ・・・ミシェル・!!もうすぐ、キャロが帰ってくるんだから!!」
(もう、いるんですけど・・・)
「今更じゃないですかー」
(そうそう、今更だっての)
必死にミシェルの魔の手から逃れようとするヒューと構わずにヒューに悪戯をしようとするミシェルの声。キャロはそーっとドアを開けると、壁をコンコンと叩いた。
「ダメだって!!キャロが帰ってくるんだか・・・・・・・・ら?」
キャロが引きつった顔で廊下に立ってるのを見て、ヒューは青ざめている。
「キャロさん、お帰りなさーい」
「ただいま、です」
それだけ言うと、キャロはにっこりと笑って無言でドアを閉めた。
付き合っていられない、そう思ったのだ。後ろで助けを求めるヒューの声が聞こえたが、あえて無視をした。










「と。言うわけなんだよね」
はぁ、ともう一度ため息を付く。
「それは・・・なんというか」
「別に、ミシェルさんと兄ちゃんが付き合ってるのが嫌なんじゃないのよ」
本人達がそれでいいのであれば、ヒューの恋人のことは何も言うつもりはない。むしろ、天然な兄にミシェルが付いていてくれるのはありがたいくらいだ。ただ。
「たださ、ああいうときの兄ちゃんって。私より可愛い顔してんのよ」
今までに何度か昨日のような場面に遭遇したことがある。その度に、そう思っていた。
「・・・・・マジで・・・?」
「(コクン)」
キャロはどっちかというと父親似で兄のヒューは母親似だ。もともと綺麗な顔立ちをしているヒューだが、ミシェルに悪戯をされている時はさらに美人度が増す。
「それが、ムカつく」
女の自分より、男である兄の方が綺麗と感じてしまうことが無性に悔しくて尚且つ腹立たしい。
女のプライドが、傷付けられているようなそんな気がする。
アリスはなんて声をかけたらいいのかわからず、ただポンと肩を叩くしかなかった。
「苦労してるんだね・・・」
「まぁね・・・・」




そんなキャロの悩みはこれからも尽きることは無いのかも知れない。
















続くかも知れません。










☆コメント☆

ミシェヒュ雑記もといキャロの受難雑記(笑)
あ、キャロって誰じゃい!って方はえーと・・・・なんて説明しましょう。
CS9を持ってる方で1度でもアリスを使った事のある方は知ってると思うのですが・・・。
アリスのフィバアニメとフィバクリ時にチラッと出てくる青髪の女の子です。公式のアリスのページを見ていただければきっとわかるかと!こちらからどうぞ。
私の中ではキャロはヒューの妹設定です!ってか、ほとんどのヒューサイトさんはそうなんですね。
キャロもソロで出ればいいのに。←なんか言った



カッコ可愛い兄に、大好きだけどちょこっとだけコンプレックスを感じてるといいです。
天然な兄としっかりした妹。んで、母親似の兄と父親似の妹。時折綺麗に見える兄に女としてのプライドを傷付けられてます。
でも、私的設定ではヒューに負けず劣らずキャロもかなりの美人さんです。美人兄妹なんです。





でわ、読んでくれた方ありがとうございました。





傍によると漂ってくる石鹸の香り










優しく笑って、時には強く叱ってくれる人










戦いになると身体を張って僕を守ってくれる人












僕の大好きなお母さん









暖かい日差しが差し込んでくる。
僕は眠い目を擦りながら、ベッドから出た。隣を見ると、お母さん・・・・フェアはもう居ない。
耳を澄ますと、パタパタと走り回っている音が聞こえた。
顔を洗って食堂に行くといつものみんながもう席に付いていた。多分、僕が一番最後。
「おはようございます!皇子様」
御使いである天使の女の子リビエルが僕に挨拶する。
僕は相変わらずの小さな声でおはようと返した。
「めっずらしわねー。アンタが寝坊するなんて」
ちょこんと席に着くと、僕の向かいに座っているリジェルが不思議そうに僕の顔を覗き込んだ。
何故だか、リシェルの隣にいるルシアンも心配そうな顔をしている。
リシェルと弟のルシアンはフェアの幼馴染でぶろんぐす家のお嬢様とお坊ちゃまなんだって。
「誰か運ぶの手伝ってー」
厨房からフェアの声。
僕は早くフェアに「おはよう」って言いたくて、椅子から降りると走って厨房まで行った。
「ああ!皇子様!走ったらいけませんわ!!」
「はっはっは。良いではないかリビエル」
「でも!!」
走り出した僕を慌てて止めようとするリビエルを御使いの一人であるセイロンが諌めた。
なんだか、セイロンには僕の心を見透かされてる気がする・・・。
ひょこっとドアから顔をだして、忙しそうに動くフェアの後姿をみる。
厨房からはスープのいい匂いがした。声をかけずにじーっと見ていると、視線に気付いたのかフェアがこっちを振り返った。
「コーラル?どうしたの?そんなところで」
僕に気付いたフェアはきょとんとした表情で僕を見る。
「フェア・・・・おはよう・・・」
「うん、おはよう!コーラル」
小さな声で「おはよう」と言った。フェアはにっこりと笑顔で返してくれた。
当たり前のことなのに、僕はそれがとても嬉しい。御使い達も他のみんなも同じように挨拶してくれるのに、フェアのときだけはなんだか妙に嬉しいんだ。
照れくさくってちょこっと下を向いちゃった。
「僕、お手伝い・・・する」
「ありがとう。じゃあ・・・・パンの入ったバスケット、持てる?」
みんなが食べるパンが入った大きなバスケット。僕は両手をいっぱいに広げてフェアから受け取った。今日のパンはフェアじゃなくてアルバのかな・・・?
「コーラル?大丈夫?」
「・・・うん・・・」
パンをじっと見つめていると、フェアが心配そうに言った。僕はバスケットごと頷く。
足元が見えないけど、多分大丈夫・・・かと。
「まぁ!!フェアったら、また皇子様に手伝わせて!!」
食堂に戻ると、バスケットを持ってる僕を見てリビエルが叫んだ。
「僕が・・・・手伝うって・・・言ったんだよ」
慌てて近寄って来たアルバにバスケットを渡しながら、僕はリビエルに言った。
リビエルはちょっと不満そうな顔をしていたけど、後ろに居るセイロンはニコニコしてる。
やっぱり・・・・・見透かされてる気がする・・・・。
「偉いな!コーラル」
テーブルにバスケットを置いたアルバが僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
アルバはなんだかお兄さんみたいだ。
「しょーがないわねー。コーラル!フェアのとこ行きましょ!」
かたんと音を立ててリシェルが立ち上がった。続いてルシアンも。僕は二人に付いてもう一度フェアの居る厨房へ行った。













フェアが切り盛りしている宿屋さん。
僕達のお家。
朝ごはんが終わると、休む暇も無く今度はシーツとかの洗濯が始まる。
僕は洗濯しているときにフェアの傍に居るのが好き。石鹸の匂いはお母さんの匂いだから。
洗濯したシーツをそっとフェアに差し出した。フェアはにっこり笑ってそれを受け取ってくれる。
その後のお店番もお買い物も付いていった。フェアは全然迷惑そうな顔をしなかったけど、迷惑じゃなかったかな・・・・。
「フェア」
「何?コーラル」
お買い物帰り道、僕はフェアに聞いてみる事にした。
「僕・・・迷惑じゃない・・?」
突然の僕の質問に、フェアは一瞬だけ驚いた顔をしたけど。
すぐににっこりと笑い返してくれた。
「迷惑じゃないよ。全然、むしろ嬉しいぐらいだよ」
フェアは本当に優しい人だな・・・・。僕は買い物袋を持ち直して、照れて下を向いた。
僕が聞きたいこと。もう一個在る。
「フェア」
「ん?」
僕がどうしても気になること。それは・・・。
「フェアはずっと働いてるけど、何時休んでるの?」
まっすぐにフェアの薄い灰色の瞳を見つめた。フェアはさっきとは違う、でも驚いた顔をしてその場に立ち止まってしまう。
みんなのご飯の準備も洗濯もお買い物もお店の掃除もほとんど一人でこなすフェア。
戦いになれば僕を守るために、みんなの先頭になって戦って、戦闘訓練だって欠かさない。
疲れていないはずが無いのに、いつも笑顔。
「コーラル?どうして、そんなこと聞くの?」
「いつも、フェアは・・・無理をしているから」
疲れた表情なんて絶対に見せないフェア。僕達に心配をかけないためだってわかってる。
でも、辛いときはせめて僕にだけは言って欲しいよ。
フェアは今度は困ったように笑った。
「困ったな・・・コーラルには、全部お見通しだったんだ・・・」
「僕だけじゃない・・・よ。セイロンも・・・・アルバだって気付いてる」
働くフェアの後姿をアルバが心配そうに見てるのを見かけたことがある。
僕の方がフェアといっぱい一緒に居るのに、フェアが無理をしているのに先に気付いたのはアルバだった。ちょっと、悔しい・・・。
「これからは・・・・僕もお手伝い・・・する・・・ダメ?」
フェアの負担が少しでも軽くなるなら、僕もお手伝いをしようと思う。
リビエルとかアロエリに怒られても、お手伝いをしようと思った。
だって、フェアは僕のお母さん。大好きなお母さん。無理はしないで欲しいんだ。
「・・・ありがとう・・・コーラル」
少し俯いてフェアが言った。声が少しだけ震えている。
フェアのほっぺに涙が伝っていた。
「悲しいの・・・?」
「違うよ。嬉しいの」
涙を拭きながら、また困ったように笑う。僕はフェアに駆け寄ってきゅっと抱きついた。
そんな僕をフェアはそっと抱き返す。
石鹸の匂いがする。お母さんの優しい匂い。
「お母さん・・・・大好き・・・」
「うん・・私も」
大好きな僕のお母さん。無理はしないで、僕が傍に居るから。
お母さんの力になれるようにがんばるから。
お家に帰ったら、遅いって怒られちゃったけど。僕は少しだけ嬉しい気分だった。
フェアも同じ気持ちだったら嬉しいけど、どうかな?
ちらりとフェアを見上げると、少しだけ嬉しそうな横顔。同じ気持ちだって思っても良いよね?
お母さん。








今日も僕が目を覚ますと、隣にはフェアは居ない。
でも、僕は真っ先にフェアの居る厨房へ行くようになったんだ。フェアの・・・大好きなお母さんのお手伝いをするために。一番最初に「おはよう」っていうために。
これからも、僕にいっぱいお手伝いさせて・・・・・フェア。












END











☆コメント☆

サモンの初SSです。今回はコーラル視点ですよー。
コーラルとフェアなのは私のお気に入りコンビ、というか一週目がこのコンビだったからです。
アルバとセイロンがなんかいっっぱい出てきたのは、単に私が彼らを好きだからです。(笑)


登場人物視点で書くのは・・・・やっぱり難しいですね。
文が続かないのです・・・・。ちょっとグダグダな感じで申し訳ない。勉強してきます。
さて、今回のSSはコーラルがフェアのお手伝いをしようって思ったきっかけみたいなのを私なりに妄想してしまいました。
竜の子と主人公は純粋な親子関係がいいです。特に本編中は!
可愛い息子(娘)なんだよ。なんとなく、恋人関係にはならないで欲しいです。最終戦後は竜の子が主人公に一方的に片思いしてると良いなぁ・・・。
親子関係万歳。(笑)

あ、サモン4がわからない方は公式行ってみてくださいね!



でわ、最後まで読んでくれた方ありがとうございました!!
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