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☆Last Up 2013.12.25 版権「※BL注意※欲しいものは一つだけ-2013 A・ミシェル生誕SS-
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☆第0話 Sabbath ~魔女の集会~ ―
☆第1話 Witch hunt ~魔女狩り~ ―






魔女の領域を荒らすこと無かれ














邪な信念で踏み入れば














生きて帰ってなどは来れるまい
















☆ハロウィン企画週1連載雑記☆


第2話 ―witch's domain ~招かれざる来訪者~ ―













メイサの屋敷から少し先の森の中。
松明の灯りを最小限に小さくし、何十人もの人間が身を潜めている。
草を踏む金属の音と金属が擦れあう音が確かにロロの耳に聞こえていた。
どんなに上手く隠れていても森の中に住む動物の声がメイサには聞こえているのだ。気付かないはずなど無い。
「何者だにゃ?」
遠くから聞こえてくる耳障りな音に鬱陶しそうにロロが眉をひそめる。
「隣の国の番犬だな」
音の主達はメイサの屋敷のさらに西の方角、そうカナリアが住んでいた湖のある方角やって来た。
恐らくは、カナリアを捕縛した王国の騎士団か何かだろう。
「ここはもう奴等の領土じゃにゃいにゃ」
「そうだな。あいつらがやっていることはもう」
立派な領土侵略だ。メイサはまだ少し遠くに見える松明の明かりをにらみつけた。











カサカサと小さな音を立てて一人の男が騎士団の中へ戻っていく。
偵察部隊だ。
メイサ屋敷のすぐ近くまで行き様子を見てはそれを逐一騎士団長へ報告している。
この偵察部隊の存在をメイサが気付いていない訳も無く、すでに手も打ってあった。
騎士団員の肩に乗っている小さな虫、この虫の鳴き声は魔女とその使い魔にしか聞こえない。言わば、現代で言う盗聴器だ。
そんなことはつゆ知らず騎士団員はある程度の偵察を終え、他の団員が待つ場所へ向かっていた。
「団長!偵察部隊が戻りました」
「よし、報告をしろ」
騎士団全員が息を呑み静かに偵察部隊の報告を待つ。
偵察部隊の騎士団員は、走っていたために荒くなった呼吸を整えると、屋敷の様子を少しづつ報告し始めた。
「はい、魔女メイサは・・・・・」











「メイサ、パンプキンパイはまだかにゃ」
フォークとナイフを両手に持ち、ご丁寧に前掛けまで身に着けたロロはきゅるきゅるとお腹を鳴らしていた。
「今焼いている途中だろ?それより、あいつはどうしたんだ?」
「アローイならすぐくるにゃ」
それよりも早くパンプキンパイを・・・とロロは目を輝かせる。
丁度そのとき、オーブンがチンっと音と立てた。ロロお待ちかねのメイサお手製パンプキンパイが焼き上がったのだ。
「良い匂いをさせておりますね。メイサ様」
焼きあがったばかりのパンプキンパイを切り分けていると、バサバサと翼を鳴らしながらロロの頭上に1羽の烏が姿を現した。
「アローイ、遅かったな」
「申し訳ありません。メイサ様」
コトンとロロの前に切り分けたパンプキンパイを置くと、テーブルの上に降り立ったアローイを見る。
アローイはロロとは違い礼儀正しくメイサに頭を下げた。
「メイサ、食べ良いかにゃ?」
ロロが両手に持ったフォークとナイフでコンコンとテーブルの表面を叩く。
領土侵略などは今はロロにとってはどうでも良く、大好物のパンプキンパイが食べたくてしょうが無いのだ。
メイサが頷くのを確認すると、嬉しそうに焼きたてのパンプキンパイを口に運んだ。
普段は猫舌で熱い物は食べられないが、何故かパンプキンパイだけは別でどんなに熱くてもパクパクと食べるのだ。
「本当にロロが猫舌だと言うのが嘘のような食べっぷりですねぇ」
感心したような、呆れたようなそん声でアローイが呟く。
温かいパンプキンパイの傍らには冷たい紅茶が置いてある。なんとも可笑しい光景だがメイサ達にとってはコレが普通になってしまっている。
「はて、メイサ様。私を呼んだという事は・・・大婆殿へ何かお知らせでも?」
しばらくロロの食べっぷりに唖然としていたアローイだが、はっとしたようにメイサに向き直った。
アローイは烏だ。メイサといつも一緒に居るロロとは違い、主にメイサから他の魔女や大婆のところへ便りを届ける役目を担っている。
魔女達の連絡係は専用の烏達がちゃんと居るのだが、急ぎの用事の時は魔女達の使い魔を使うことがある。
そう、今メイサがアローイを呼んだのは大婆への連絡のためだったのだ。
「表に潜んでいる鼠には気付いているな?」
メイサの問いにアローイは頷く。
「奴らがここへ来るのは私を捕縛するためであろう」
「領土侵略の件をお知らせすると・・・そういうことですね」
騎士団の者達がメイサを捕縛しに来たということは明白だ。
そうでなければ、わざわざ他国に住む魔女の屋敷に近付くはずが無い。
捕縛などメイサにとっては大した問題ではないが、相手が領土侵略をしたとあっては魔女達とて黙って見ている訳にもいかなくなるだろう。
何せ、他国に住んでいる者達にまで捕縛の魔の手が伸びるかも知れないのだから。
「私の合図で屋敷を発て、良いな?」
アローイは深々と頭を下げた。
メイサはサラサラと紙にペンを走らせると、呪いをかける。魔女とその使い魔にしか読めないように細工を施したのだ。
すると、丁度その時メイサが騎士団員に忍ばせた虫が鳴いた。








―人間達が来るぞ―










ビィーン・・・・とメイサの屋敷の周りに張ってある結界が反応している。
窓からちらりと外を見れば、どうやら騎士団の者達がメイサの屋敷のヘ、メイサの領域へ足を踏み入れたようだ。
「ロロ、行くぞ。お客さんだ」
「迷惑なやつらだにゃ」
パンプキンパイをお腹いっぱい食べたロロは満腹になったお腹を擦りながらメイサの後へ続く。
アローイは合図を待つために屋敷の屋根の上へと上っていった。
硬く閉じられているメイサの屋敷へ続く門を騎士団員達がこじ開けようとしている。
「お前達、人の屋敷の前で何をしている?」
何処からともなく聞こえる声に騎士団員達は手を止め誰もがキョロキョロとあたりを見回した。
「魔女メイサ・・・お前に我らが王からの協力要請を通達しに来た」
騎士団長であろう一人の男が歩み出た。
「ここはお前達の領土ではないはずだが?」
「この国もすぐに我らの王が統べる国となろう」
お前の協力があってこそ・・・・と騎士団長の男は続ける。
どうやら領土侵略をしていることに関してさほど罪悪感も、問題もないと考えているようだ。
「私が抵抗すればどうなる?」
「無理矢理にでも・・・捕縛せよとの命令だ」
「ほぉ・・・では、やってみろ」
言葉と共にメイサがその場に姿を現す。
途端に屋敷周辺の木々がざわざわと音を立てる。まるで、自然そのものがメイサの出現に怯えているかのように。
西の魔女と恐れられるメイサだ。その気になれば国一つ滅ぼすことが出来る程度の力は持っている。
そして今は許可無しに自分の領域に足を踏み入れた騎士団に酷く腹を立てているのだ。
「気をお静め下さい。魔女殿」
メイサの出現でどよめく騎士団の後ろから、騎士団員達とは風貌が違う者が現れた。
微かに魔術の力が感じられるが、魔女では無い。
「お前が、カナリアを捕縛した者か」
「如何にも。宮廷付き魔術師ノイズと申します」
ノイズと名乗った男は宮廷付き魔術師だと言った。
しかし、ノイズはどう見ても只の人間。彼の魂からです波長も人間のものだ。
「私は貴女を無理矢理連れて行く気はありません。どうか、ご協力を」
ぺこりと頭を下げて見せた。
「私が素直に付いていくとでも?」
メイサはくすりと笑う。
この青年はメイサの本当の力を理解してはしないのだ。カナリアを捕縛したことで自信が付いたのだろう。
メイサにも魔術で負けることは無いと思っているに違いない。
「あくまで抵抗するというのですね?」
「当たり前だ。私はお前達人間の茶番に付き合う気など無い」
「ならば・・・仕方ありません」
青年の目つきが変わった。
スゥッと瞳を閉じ、呪文を唱える。
ノイズの周りが眩い光に包まれると、やがてその光はメイサに向かって飛んできた。
くるくるとメイサの周りを回りながらメイサを取り囲んでいく。
捕縛術だ。
カナリアもこの術で捕縛されてしまったのだろう。
「捕縛は完了した。さぁ、団長殿。帰還いたしましょう」
「ほぅ、大した力だ。だが、コレで終わりか?」
「!!!」
メイサを包んでいたはずの光が一つまた一つと消えていく。
捕縛術は確かに完了していたハズだ。ノイズには確かな手応えががあった。
しかし、メイサを捕縛するどころか、何のダメージも与えられていない。
「どういうことだ・・・?術は・・・確かに完了していたはずだ」
愕然とした表情でノイズはメイサを見た。
つい先日捕縛した魔女カナリアはこの捕縛術で簡単に捕縛することが出来たのだ。しかし、今目の前に居る魔女にはこれっぽっちも効いていない。
カナリアとは明らかに違う何かをノイズは感じていた。
「愚かな。俄仕込みの魔術で・・・・この私を捕縛などできるものか」
ニヤリとメイサが笑う。
確かにこの青年の腕前なら下級の悪魔ぐらいは簡単に捕縛することが出来よう。だが、メイサほどの魔女の捕縛など、到底出来はしない。
生まれつきの魔女と人間が魔術で張り合おうなどと、無謀な話なのだ。
「人間が魔女に魔術で叶うとでも思っていたのか?バカめ」
「くっ・・・・・」
目の前の青年は悔しそうに唇を噛んだ。
「覚えておけ、コレが魔女の力だ」
メイサの手のひらに光が集まっていく。
それは、ノイズが起こした光とは比べ物にならないくらいの眩い光だった。
逃げるまもなくすぐに騎士団員と宮廷付き魔術師の視界は真っ白になり、遠くなる意識の中に魔女の笑い声が微かに響く。
メイサの圧倒的な力になす術も無かった。







「アローイ。大婆のところへ行け」















愚かな人間共に裁きを
ハロウィンの前夜祭といこうじゃないか






....第3話へ続く
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小説家の卵の卵な管理人です。
日々精進、有言実行を夢見て生きてます。
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