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☆Last Up 2013.12.25 版権「※BL注意※欲しいものは一つだけ-2013 A・ミシェル生誕SS-
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「愚かな人間共め、メイサに手を出そうとは」






牢獄に繋がれた魔女カナリアは鉄格子の隙間から見える月を見上げて言った














☆ハロウィン企画週1連載雑記☆ 


第3話 ―The eve of Halloween ~王国VS魔女~ ―














「聞いたかい?やつら領土侵略を犯してまで、メイサを捕縛しに来たんだって!」
「愚かなやつらだな。人間ごときがあのメイサを捕まえようなんてさ」
メイサの要請でハロウィン前にも関わらず、2度目の集会が行われようとしている。
会場に集まった魔女たちは心底人間達に同情した。先日メイサを捕縛しに領土侵略を犯してまでやって来た騎士団と宮廷付き魔術師。
たった1発の魔法で、いとも簡単に追い払われたのだ。
王国の使いの者に見つけられた時には皆気絶し、中には魔法を当てられたショックで任務中の記憶を失っている者まで居た。
騎士団と宮廷魔術師と言う肩書きを持っている彼らだ。相当な侮辱だったに違いない。
だが、彼らではメイサに全く歯が立たなかったのもまた事実なのだ。
「今回の集会の主催者はメイサなんだろう?」
「彼女のことだ。一体どんな報復を考えているのか」
考えただけでも恐ろしい。魔女たちは身震いをした。
メイサとて自分の領域を人間達に無断で足を踏み入れられたのだ。腹を立てていないはずが無い。
大婆に使い魔を送ってまで開いた集会だ。人間達に何らかの報復を考えているのだろう。
魔女達にとっては楽しく、人間達にとっては恐ろしい以外の何者でもないようなそんな報復だ。
「皆のもの聞け!人間達は領土侵略を犯してまで我らを捕縛しようとした」
大婆が集会場の中央の台座から叫んだ。
「大婆さま!愚かな人間をそのままにしておいて良いのですか!」
「これでは、何時また同じことが起きるか・・・・」
協定を破ってのカナリアの捕縛。そして領土侵略を犯してのメイサの捕縛令。
やりたい放題の王国に魔女達の怒りは頂点に達しようとしていた。「報復を」「裁きを」と四方八方から魔女達の怒りの声が飛び交う。
「メイサ、お前の意見を聞こう」
大婆は壁にもたれかかるようにして立つメイサを見た。
「わかっているんではないのか?」
大婆と魔女達の視線がメイサに集中する中。メイサはニヤリと笑ってそう一言だけ言う。
「・・・・ならば、皆のもの!愚かな人間達に魔女の鉄槌を!!」
ドンと大婆が杖で床を叩く。
途端に魔女達のからは歓喜に満ち溢れた歓声が沸きあがった。
「さぁ、ハロウィンの前夜祭と行こうじゃないか」
魔女達にとってはほんの遊び。ハロウィンの前夜祭とでも言っておこうか。
やりたい放題の王国は一夜にして魔女達の玩具になるのだ。やりたい放題やられた分魔女達は同じくらい、いやそれ以上にやり返そうとしている。
「ついでにカナリア救出してやっては?」
「それが良い。カナリアにも参加させてやろうじゃないか」
「でも、カナリアは罰則中で助けてやっても魔法は使えまい?」
標的はカナリアが捕縛された王国の城だ。
魔女達が好き勝手暴れればそのさなかにカナリアを助け出すことも出来るだろう。しかし、カナリアは罰則中の身であり、助け出されたとしても何もすることは出来ない。
「カナリアの罰則期限は確か・・・31日(ハロウィン)だったな?」
カナリアの罰則期限は31日。丁度ハロウィンの日だ。
罰則が終了するもうちょっとのところでの捕縛。不運以外言いようの無い出来事だった。
「大婆。カナリアの罰則期限を少しだけ早めるのは如何か?」
メイサの提案に魔女達はどよめいた。罰則の短縮など、認められた事が無い。
まして罰則の短縮を申し出た者すらほとんど居ないのだ。
「もうすぐで罰則が解かれるというのに捕縛されてしまったんだ。さぞ、鬱憤も溜まっていよう」
「なるほど。しかし、罰則を解くには誰かがカナリアの所まで行かねばならん」
目的はあくまで人間達への報復であり、カナリアの救出ではない。
カナリアの罰則を解くには誰かがカナリアのもとへ行かなければならないのだ。
人間相手に魔女達ならば造作もない事であろうが、たった一人で行かなければならないとなると、それを引き受けるものが居るのかも怪しい。
「メイサに行かせては?」
一人の魔女が言った。
「カナリアはメイサをライバル視しているじゃないか」
「そうか、ライバル視しているメイサに罰則を解かれる。カナリアにとってそれほど屈辱的なことはないな」
はっとしたように魔女達は口々に言い始める。
メイサをライバル視しているカナリア。ライバルに罰則を解かれるというのは、彼女にとってそうとう不本意なことだろう。
魔女にとって魔術を封じられる事は何よりも恥じるべきことだ。そんな罰則を与えられ、さらにその罰則をライバルのメイサの手によって解かれる。
カナリアには十分過ぎるほどの屈辱だ。
「メイサ、やってくれるか?」
「そんなこと、お安い御用だ」
大婆の問いかけに、メイサはもう一度ニヤリと笑って見せた。
魔女達にとってハロウィンの前夜祭とも言える、奇襲作戦の決行は明後日。
集会場には楽しそうな魔女達の笑い声が響いた。














―奇襲作戦決行の夜―





集会から3日。メイサにこてんぱんにのされ警戒しているのか、魔女が捕縛されたと言う通達は来ていない。
当然戦争に魔女が参加していると言う通達来て居なかった。
恐らく、カナリアが他の魔女達とは違うという事に王国側も理解し始めているのだろう。開放されていないところを見れば大方、実験材料にでもするために牢獄にでも入れているに違いない。
「メイサ、準備は良いか?」
「ああ、他の者達は?」
メイサ達魔女は標的の城の近くに集結していた。
じっと耳を澄まし風の音、動物の声を聞く。
「見つけた。カナリアはあそこか」
罰則中であっても魔女の気配は変わらない。罰則印のせいで極限まで弱くなったカナリアの気配をメイサは確かに感じ取った。
城中が寝静まったころ。大婆の指示で集結したすべての魔女達が作戦を決行するべく、行動を開始する。
静かに、だが確実に魔女達は城へ近付く。四方3kmにわたりぐるりと城を取り囲むようにして皆待機している。





―愚かな人間共に魔女の裁きを、さぁハロウィンの前夜祭だ―




すべての魔女に届く大婆の声。
その声を合図に、1人また1人と城へ向かい魔法を放つ。ドンッ!!ドンッ!!大きな音を立て、それらは城の外壁へと命中する。
すると、次第に城の中が慌しく動き始め、やがてたくさんの騎士団の者達が外へ出て来た。
「魔女だと!?こんなに大勢で・・・くそっ!何故気が付かなかった!!」
城の外に待ち構えている魔女達を見て、騎士団達は悔しそうに唇を噛んだ。
彼らが気が付かなかなったのは当然のこと。魔女達は気配を消すのが得意なのだ。しかも、それらは魔女同士にしか感じ取ることが出来ず、人間である彼らが気配に気付くことは不可能に近い。
「王家の方々を安全な所へお連れしろ!・・・ぐぁあっ!!」
魔女と騎士団の戦いだ。接近戦が得意な騎士団に対し、魔女達は空中から魔法で応戦する。
中には接近戦が得意な魔女も居るが、自分が不利になる戦いをするほど魔女達も馬鹿ではない。楽しそうに笑いながら、次々にと騎士団を倒れさせていく。
「行くぞ、ロロ」
激戦が繰り広げられる中。メイサはまっずぐにカナリアが入れられている牢獄へ向かう。
彼女の罰則を解いてやるためだ。
風のように過ぎ去っていくメイサには誰一人の攻撃も当たらない。しつこく追ってくる者にはロロの軽い攻撃で十分だった。
「久しぶりだな、カナリア」
「メイサっ!!貴様!何をしに来た!」
久しぶりに顔を合わせたメイサとカナリアだったが、相変わらずカナリアのメイサに対する態度は酷いものだ。
「外で何が起きているかは、僅かながらでも感知できるはずだが?」
魔女達が暴れていることぐらいは罰則中のカナリアにとて感知することぐらいは出来る。
何故そんなことになっているのかも、カナリアほどの魔女ならば理解も出来よう。
「大婆の言いつけだ。私がお前の罰則、解いてやるよ」
「な・・・・なんだと・・・?」
大婆の言いつけ、さらにメイサが自分の罰則を解く。カナリアの表情は一気に曇った。
罰則が解かれるのは願っても居ないことだが、ライバルのメイサに解かれる。カナリアは目の前のライバルを見た。
「お前も暴れたいだろ?だったら、おとなしく罰則を解かれておけ」
「しかし・・・」
「お前。人間共に馬鹿にされたままで良いのか?」
「!!!!!」
躊躇するカナリアにメイサはとどめと言わんばかりに言う。
人間に馬鹿にされたままで魔女としてそれで良いのか。プライドが高い魔女がそんなことを許すはずが無い。
カナリアも強い力を持つ魔女だ。
「そう・・・だな。チェラス湖の主たる私が、人間などに・・・・。メイサ、非常に不本意だが・・・頼む」
「ああ、任せておけ」
メイサはカナリアの額に手をかざし、大婆に言われたとおりに呪文を唱える。
カナリアの体が次第に光り始め、制限されていた力が本来のものへとじょじょに戻っていく。
今まで感じ取れなかった動物の声も精霊の声も、仲間の魔女の気配も感じ取れる。何より体が軽くなった。
「終わったぞ」
「ああ、さっきまでの感覚が嘘のようだ。本当に罰則が・・・・解けたのだな」
ゆっくりと瞳を開けたカナリアは、愛おしそうに目を細める。
そして、確認するように1発魔術を放ち自らを閉じ込めていた牢獄を破壊した。
「さぁ、確認が終わったのなら表へ行って・・・・その鬱憤を晴らしてくるんだな」
メイサの提案にカナリアが頷くと、珍しく2人はニヤリと笑いあう。





魔女達はその後もやりたい放題暴れていき、残された城はほぼ壊滅状態だったという。
王家の者などには目もくれず、ただ魔術を使い暴れていただけだが。これでもう、国王も魔女を捕縛しようなどと考えはしないだろう。
この一件で魔女達が結託して行う報復がどんなに凄いものか身を持って思い知らされたのだから。
湖に戻ってのカナリアの態度は以前とは変わらないが、メイサにとってはそんなことは大した問題にはならない。
ハロウィンの前に一暴れした魔女達も5日後のハロウィン本番に向けていそいそと準備を始めているようだ。
「メイサ、今年はどれくらいのパンプキンパイが食べれるのかにゃあ?」
「パンプキンパイだけを貰うんじゃないんだぞ」
そんな会話をしながら、メイサとロロもハロウィンの準備に取り掛かっている。
ロロがお腹いっぱい満足のいくまでパンプキンパイを食べられるかは、5日後まではわからない。












「あいつは今年も来るのかにゃ・・・?」














...第4話(最終回)へ続く
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小説家の卵の卵な管理人です。
日々精進、有言実行を夢見て生きてます。
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