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☆Last Up 2013.12.25 版権「※BL注意※欲しいものは一つだけ-2013 A・ミシェル生誕SS-
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6月からの梅雨の時期。
毎日のように降り続く雨。







今日は朝は晴れていたと言うのに今は土砂降りの雨が降っている。急に降り出した雨に人々は不満の声を上げながら、鞄やら紙袋やらを傘代わりにして走り出した。
「・・・・・・・」
そんな外の様子を無言で見つめている二つの小さな影があった。
精霊界創造の魔女ミントのところへ身を置く、雷の精霊ヴォルーナとそのパートナーもライザだ。慌しい外の様子をただじっと、無言で見つめている。
やがて、ヴォルーナが窓辺を離れるとライザも後へ続く。何処へ向かうのかと思いきや玄関にある薄い黄色のレインコートを引っ張り出した。
「おいおい、ちびすけ。そんなもん出して何処いくんだよ」
土の大精霊ロックがヴォルーナを呼び止める。
「雨・・お姉ちゃん・・・・・迎えに行く」
玄関から見える窓を指差した。確かに、外は土砂降りの雨だ。
彼女達の主であるミントとその護衛であるプラムが所用で出かけている。ミント達がここを出たときは外は雨など降っていなかったのだ。きっと傘など持って行っていないに違いない。
「お嬢達が傘無いってなんでわかる?」
もしかしたら、持って行っているかも知れない。ロックは何とかヴォルーナが外へ出るのを止めようとした。誰か一緒ならば問題は無いのだが、今はロックとヴォルーナ以外は何かしらの任務についている。
そのためロックがヴォルーナと一緒にここを空けることは出来ないのだ。
ましてやヴォルーナはまだ10歳だ。パートナーのライザが居るとはいえ、ヴォルーナ一人を外へ出すなど心配で仕方がない。
「お約束の時間・・・・・過ぎても・・帰って来ない・・よ?」
ヴォルーナがポツリと言う。ライザは「うんうん」と頷いた。
ロックが壁にかけてある時計を見やると、確かにミントが帰ってくると言った時間を大幅に過ぎている。それに、傘立てを見るとミントの水色の傘がしっかりと入っていた。
「わかった。じゃあ、オレが行って来るからお前は留守番してろ。良いな?」
ヴォルーナの頭を撫でながら、諭すように言う。
すると、ヴォルーナはライザの腕を掴んで「イヤイヤ」と首を振った。御揃いのレインコートと長靴を履いて、じっと玄関に立ってロックの顔を見つめる。
どうやらこの一人と一匹(体)はどうしてもミント達を迎えに行く気らしい。こうなってしまってはロックにはどうすることも出来ない。こういう時のヴォルーナを動かすことが出来るのは、主であるミントとヴォルーナの教育係を任されている、水の大精霊アクアだけだ。
はぁ・・・・とロックは大きくため息を付くと、靴箱の上に置いてあるメモ帳に何やらさらさらと書きはじめた。
「ほれ、コレがお嬢達が出かけたとこの地図な。落とすんじゃねぇぞ?」
書いたメモを見せながら簡単に説明してやると、「こくん」と小さく頷いてヴォルーナはそれを受け取った。二回折って、レインコートのポケットにしっかりとしまいこんだ。
「それから、それ見れも迷子になったら。バトルの時みたいにすぐ呼ぶんだぞ?」
ロックが自分の額を指でトントンと軽く叩く。すると、ヴォルーナはもう一度「こくん」と小さく頷いた。敵との戦闘中に仲間である他の精霊達との連絡をとる手段。つまりテレパシーだ。
普段の生活で使うことはあまり好ましいことではないが、場合が場合だ。それに、たとえ咎められたとしても理由を話せば仲間達も納得してくれるだろう。
「よし、じゃあ行って来い!」
ポンポンと頭を撫でてやると、またヴォルーナは「こくん」と頷いた。
くるりとロックに背を向けると、傘立てからミントの水色の傘を引き抜き外へ続く戸を開ける。
「お兄ちゃん・・・」
「んぁ?」
「ありがとう・・・・行ってきます・・・・」
「おぅ、行って来い」
背を向けたまま少し恥ずかしそうにヴォルーナが言った。
ロックは普段ヴォルーナにお礼を言われることなどほとんど無い。少しばかり驚きはしたものの外へ出て行くヴォルーナの背中をそっと送り出した。
(帰ってきたお嬢に怒られませんように)
そんなこと思いながらではあったが・・・・・。





















大きな水溜りの中をざぶざぶと歩きながら、ヴォルーナとライザはミント達の元へと歩いていく。
時折立ち止まってはロックに渡されたメモを見る。ライザと相談をしていく道を決めた。
ライザと御揃いの薄い黄色のレインコートと濃いピンク色の長靴。これらはヴォルーナの大好きな主、ミントが用意してくれたものだ。
もうすぐ梅雨の季節だからと、ミントが新しいレインコートと長靴を用意してくれた。いつもはヴォルーナの分だけなのだが、今回はライザの分もある。しかも御揃いだ。
ライザと御揃いのレインコートが着たくて、御揃いの長靴が履きたくて、早く梅雨の季節にならないかなとヴォルーナはずっと思っていた。
「ライザ・・・・・道そっちじゃないよ」
ヴォルーナはライザと御揃いなのが嬉しくてしょうがなかった。どうしても、ライザと一緒にこのレインコートと長靴を身に着けて雨の中を歩きたかった。
だから、ロックに無理を言って外へ出てきたのだ。我がままを言ってしまったのがミントに知れれば、怒られてしまうだろうか。そんな不安も少しはあった。
「怒られると思ってんのか?」
メモを見て少しだけしょんぼりとしたヴォルーナの顔をライザが覗き込む。
ヴォルーナは小さく「こくん」と頷いた。レインコートの帽子にポツポツと当たる雨の音が少しだけ大きく聞こえる。
「怒られる時は俺様も一緒だろ」
くいくいとヴォルーナのレインコートの裾をライザが引っ張った。
いつも一緒。絶対に離れることの無い一心同体。親友のようなパートナーのような姉弟のようなかけがえの無い存在だ。ライザはヴォルーナの母親が亡くなってからずっと一緒に居る。亡くなったヴォルーナの母が残した形見の人形なのだ。
「そうだよね。ライザと・・・・ヴォルーナは・・いつも・・・一緒」
そうだ、悪いことをしてしまって怒られる時はいつもライザと一緒だった。嬉しそうに笑うと、しっかりとライザの手を握った。
もう一度メモを見てゆっくりと歩き出す。目の前に見える信号を渡って右に曲がるとミント達がいるであろう建物はすぐだ。

















「困ったわねー。まさか雨が降ってるなんて思わなかったわ」
用事が済んでいざ帰ろうと外へ出てみると土砂降りの雨がお出迎え。傘を持っていないミントとプラムは困り果てながら、雨宿りをしていた。
「油断しましたねぇ・・・」
雨は一向にう止む気配がない。
それどころか時間が過ぎれば過ぎるほど酷くなっていっているような気さえする。
「いっそのこと走って帰りましょうか?」
「駄目です。ご主人様が風邪でも引いたらどうするおつもりですか」
雨の中に飛び込もうとするミントの腕を目にも留まらぬ速さで阻止した。
しかし、そろそろどうやって帰るか決めてしまわないと精霊達が心配しているころだろう。走って帰るか、止むまで待つか選択は二つに一つだ。
「僕は濡れても構いませんが、貴女が濡れてしまっては困りますね」
「まさか、服脱ぐなんて言わないでしょうね?」
「おや、正解です」
ミントが訝しげな目を向けると、プラムはにっこりと微笑む。
そして、上に着ている服を脱ごうとした。
「ちょっと待った!!!!ねぇ、あれってさ・・」
道の向こうから歩いてくる小さな二人組みが見える。見覚えのあるレインコートと長靴。鮮やかな紫色の髪の子供と大きな二つの耳を持ったウサギのような姿。
ちょこちょことこちらへ向かって歩いてくるように見える。
「!・・・お姉ちゃん・・・!お兄ちゃん・・・!」
ミントとプラムに気付くと、鮮やかな紫色の髪をした子供がたっとこちらへ駆け寄ってきた。
「ヴォルーナ!?」
「では、もう一人はライザですね。まさか、二人で迎えに・・・?」
駆け寄って来る子供はヴォルーナとライザだ。
二人の後ろから誰かが歩いてくるような気配はしない。どうやら、二人だけでここまで来たようだ。
「どうして、ここに?」
レインコートの帽子を外しヴォルーナとライザの顔を交互に見た。ヴォルーナとライザはすっとミントの水色の傘を差し出す。
「雨・・・降ってきたから・・・・お迎え・・・来たよ」
「俺様とヴォルーナに感謝しろよな」
ニッと笑うライザに、ミントとプラムは顔を見合わせた。
確かあそこには土の大精霊ロックに留守を任せて来たはずだ。同時にヴォルーナとライザを見ておくように言っておいたはずなのだが。
「ロックはどうしました?」
「ロックお兄ちゃん・・・悪くないよ・・・?」
プラムの問いに首を左右に振りながらも、ヴォルーナは訴えた。
不思議そうにミントがヴォルーナとライザを見る。どういう事なのだろうか、二人を迎えに来るのならば当然ロック一人か、ロックを含めた三人で来るものと思っていた。
「ヴォルーナが・・・・ライザと・・・・行くって言った。ロックおにいちゃんに・・・・言った」
「あいつはしぶしぶOKしたんだぜ」
ヴォルーナとライザの訴えにミントとプラムはもう一度顔を見合わせ、今度はお互いににっこりと微笑んだ。それから、ミントはヴォルーナとライザ二人の頭をくしゃくしゃt撫でた。
「そっか、よく二人で来られたね?偉いぞー」
するとヴォルーナとライザは嬉しそうに笑った。二人の今日一日での最高の笑顔だ。滅多に笑顔を見せることの無い二人の最高の笑顔。
「帰りましょうか」
ミントが言うと、ヴォルーナとライザが「こくん」と大きく頷く。
くるっと振り向くと目の前にある大きな水溜りにザブンっと勢い良く入っていった。
ミントの傘を広げる、そこまでは良いのだが。そこからどうしたものか、ヴォルーナが持ってきてくれたのはミントの傘一本のみ。つまりプラムの分の傘は無いのだ。
一本に二人で入ろうにもプラムのことだミントが濡れないようにすることを最優先に選ぶのに決まっている。
「猫になりなさいね?」
「・・・貴女にはかないませんね。かしこまりました。では肩の上をお借りしますね」
ミントに先手を打たれ、仕方なしにプラムは黒猫の姿になるとトンとミントの肩に乗っかった。ミントの肩の上は黒猫の姿になったプラムの所定位置だ。
プラムが肩に乗ったのを確認すると、ミントは傘を差してヴォルーナ達の後を追いかけていった。
「よっぽど、御揃いが嬉しかったのね」
「あの子達は姉弟のような感じですからね」
この日を境に雨の日のお迎え係りが、ヴォルーナとライザになったのは言うまでもない。これからまだまだ雨の降る季節。













次に彼方のお迎えに来るのはそんなヴォルーナとライザかも知れません。















END


















☆コメント☆

雨の日に書こうと思っていた、オリジっこの雨の日雑記です。
書こうと思った時になかなか雨が降らずに今日がやっとのUPになります。いや、ぶっちゃけ雨は降らなくてもいいのだけどね。←
コレを読んでいる時に、皆さんの地方で雨が降っているといいです。その方がきっと雰囲気感じてもらえると思いますし。


今回のはオリジっこの二人(?)がメインの雑記です。
ヴォルーナとライザのコンビ。読んでて気付いた方がいるかと思われますが、文中み出てくる御揃いのレインコートと長靴とは、トップ絵のアレです。(笑)
実はアレを描いてる時に浮かんだネタだだったのですよ。なので、アレはそういう場面なんだって思っていただければ幸いです。
御揃いにしてもらったレインコートと長靴を早く活用したくて言った、ヴォルーナの小さな我がままですね。ほら、子供って新しいものを手に入れると早く使いたがるじゃないですか。そんな感じですね。
しかもそのとき丁度ミントとプラムが傘を持たずに出かけてたのです。
コレは行かずにいられません。さっそく準備をしますが、案の定保護者(っていうかこの場面では監視役みたいな感じですが)に見つかってしまいます。
留守番してろって言われても引きません。頑固一徹ですよ。←使い方間違ってないか?
何故でしょうね。一応ヴォルーナは10歳設定なのですが、必要以上に幼くなってしまう気がするんですよね・・・・。あんまり喋らない子って設定だからなのかな。
今回はほのぼの家族なイメージを目指したので、そんな雰囲気が出てるといいなって思います。



では、意味不はコメント含め最後まで読んでくださった方ありがとうございました。
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小説家の卵の卵な管理人です。
日々精進、有言実行を夢見て生きてます。
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