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☆Last Up 2013.12.25 版権「※BL注意※欲しいものは一つだけ-2013 A・ミシェル生誕SS-
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七月七日の七夕に願いを書いた短冊を笹に吊るすと星が願いを叶えてくれる。
そう教えられた。
天の川を渡って織姫と彦星が年に一度だけ再会できる・・・特別な日。
そんな七夜の彼方の願い事はなんですか?







































☆七夕小説ー七夜の願い事ー☆


























「食堂の笹に吊るすから、お願い事書いてね」
数時間前にそう言って手渡された長方形の黄緑色の紙。
たった今のコーラルの悩みのタネだ。母親代わりのフェアに渡され、頷いたものの肝心な願い事が見つからない。
紙をじーっと見つめたり、部屋をトコトコと歩き回ったりしてみるが、一向に願い事は見つからなかった。
「そうだ」
ぽんと手を叩くと、おもむろに部屋を出て行った。
見つからないのならみんなの願い事を参考にしてみよう。そう思いついたのだ。
食堂へ降りていくと大きな笹がドンっと置いてある。しかし、肝心の願い事を書いた短冊がまだ一つも吊るされていない。
笹の下に飾りの入った箱が置いてあったが、コーラルが渡されたような長方形の紙・・短冊は一枚も入っていなかった。
「おや、皇子(みこ)殿(どの)」
「セイロン・・・」
笹の周りをきょろきょろしていると、後ろから御使いの一人のセイロンがいつの間にかコーラルの後ろに来ていた。
セイロンを見上げると扇子を持った逆の手にコーラルが渡された紙と同じような赤い紙を持っている。
「店主殿に渡された短冊を吊るしに来たのだが・・・まだ準備が出来ておらぬようだ」
赤い短冊をひらひらと宙になびかせてコーラルの後ろにある大きな笹を見上げた。
どうやら、セイロンはコーラルが見つけられない願い事をもう見つけてしまっているらしい。
「セイロンの・・・オネガイゴトって何?」
ひらひらと動く紙に合わせて顔を動かしながらコーラルがセイロンに問うた。
セイロンは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに何かを悟ったかのように笑った。
「我の願い事でございますか。後で、ここへ見に来ると良いでしょう」
それから、コーラルの耳元へ近づくと「我以外の者へ聞いた方が参考になりましょう」そう言ったのだ。
どうやら口答する気は無いらしい。セイロンは笹へ短冊を吊るすのを止めると、そのまま何処かへ行ってしまった。
願い事を必死に考えているコーラルを残して。








あれから数十分が過ぎ、セイロンの助言通りに思いつくか限りの仲間のところへ出向いていた。
最初に御使いの一人であるリビエル、その後にはもう一人の御使いのアロエリの所へ。
「わたくしの願い事なら、たった一つですわ。もっと立派な御使いへ成長することです」
「オレの願いですか。戦士として、御使いとしての精進。そして何より、敵を倒すことです」
御使いとして真面目に勤め、少しでも成長しようとしている二人の願い事はコーラルの願い事探しにはあまり
参考にはならないのかも知れない。
でも、少なくとも自分のために頑張ろうとしている彼女達の願いは立派だとも思う。
次は食堂でご飯をがっついているシンゲンに話を聞いてみることにした。
「私はもう、真っ白いご飯と美味しい梅干があれば!何にもいりませんよ」
それは、願いではない。コーラルはそう思ったが、あえて口には出さずに美味しそうにご飯を食べるシンゲン
を見つめていた。
その後、裏庭でアルバを見つけたがあいにく剣の修行中だった。
邪魔をしては悪いと思い次の誰かを求めて歩く。気付くとミントの家の前まで来ていた。
「コーラルちゃん?どうしたの?」
庭でさまざまな世界の野菜を育てている蒼の派閥の召喚士であるミント。
彼女からは少なからず参考になる願い事が聞けそうなそんな気がしていた。
「私のお願い事?そうねぇ・・・もっとお野菜の研究が出来るようになれば良いな」
にっこりと微笑むと畑の方に目をやる。オヤカタもうんうんと頷いていた。
「それとね。早く、戦いが終わると良いな。そうしたら、もっとコーラルちゃんともたくさんお話が出来るもの」
ミントの言葉で少しだけわかった気がした。何かが思い浮かんだような気がした。
でも、その何かはすぐに泡のように消えてしまう。わかりかけたコーラルの願い事。









ミントの家から帰ってくると、裏庭にいたはずのアルバが居なくなっていた。
どうやらコーラルが出かけている間に剣の修行は終わってしまったらしい。
アルバの部屋へ行くと今度は剣の手入れの最中だった。
ひかえめにノックをしてドアから顔を出すコーラルをアルバは快く迎え入れてくれる。
「おいらの願い?やっぱり、立派な騎士になることかな」
見習い騎士のアルバの夢でもある願いだった。
「そうか、コーラル。短冊に書く願い事が決まってないのか?」
ズバリと確信を突かれてしまったが、コーラルはこくんと頷いた。ずっと、ずっと考えているが見つからない。
いろんな仲間に聞いたことなど、今までの経緯を全て話した。
それでも、コーラルの願い事は見つからない。ミントのところでわかりかけたものは一体なんだったのだろうか。
「そうだな。願い事なんてのは、今の自分がどうしたいかで良いんじゃないのかな」
「僕の・・・したいこと?」
アルバが頷く。コーラルはじっと考えてみた。今の自分がしたいことをゆっくり、ゆっくりと考えてみる。
アルバは剣の手入れを終えるとそんなコーラルの様子を何も言わずに見守った。
今のコーラルはフェアや仲間達と一緒に毎日を過ごしていられる事で幸せ。何も望むものなんて無い。
少なくとも今は一緒にいられる。
では、これから先はどうなるのだろうか。明日敵が攻めてきて、自分はみんなと離れ離れになってしまうかもしれない
そんなことはきっとフェアが許しはしないだろう。何があったって、コーラルを敵に渡しはしないはずだ。
他の仲間だって、コーラルを守るために全力を尽くしてくれる。
戦いが終わった後、フェアは自分の事を今と同じように接してくれるだろうか。
もう子供じゃないと突き放したりはしないだろうか。
何故だかそんな不安ばかりが頭を駆け巡った。
「僕は・・・ずっとみんなと居たい。ずっと、フェアの・・・お母さんの子供で居たい」
思わず出た言葉。
ハッとして、アルバを見ると何故だかにこにこと笑っている。
「それで、良いんじゃないかな」
「え?」
アルバの予想もしない言葉にコーラルは驚いてしまう。
怒られると思っていた。こんな身勝手な願いを口にしてしまったことを。
みんなは戦いを終わらせるために一生懸命戦っているのに。
他でもない、町の平穏とコーラルを守るために。
でも、戦いが終わってもみんなと一緒に・・・フェアの子供でいたい。その願いは本心だった。
「みんなと一緒に居たい。すごく、コーラルらしい願いじゃないか」
「でも・・・・身勝手だよ・・・?」
「身勝手なもんか!戦いが終わっても・・・・ってそういうことだろ?」
くしゃくしゃとコーラルの頭を撫でると、確認するようにアルバがコーラルの瞳を覗き込む。
コーラルは黙ってこくんと頷いた。







急いで短冊に願い事を書き込むと、食堂へ下りていく。
すると、リシェルやルシアンがフェアと一緒に綺麗に笹に飾り付けをしていた。
良く見ると、すでに短冊が数枚吊るされているのがわかる。ふと見るとセイロンがにこにこと微笑んでこちらを見ていた。
その目はまるで「お願い事は見つかりましたか?」と言われているようだ。
「フェア・・・オネガイゴト書いて来たよ」
ワザと裏返しにしてフェアに手渡しする。すると、短冊に穴を開けて紐を通してくれた。
「好きな所へ吊るしてみて!何処が良い?」
大きな笹を見上げて、吊るす場所を探す。あまり他の仲間が見える所には吊るしたくない。
なんだか、ちょっぴり恥ずかしい気持ちだからだ。
「あそこ・・・」
「って、あんな高いところに誰が吊るすのよ」
コーラルが指差したのは大きな笹の天辺より少し下。かなりの高い位置で普通の人間なら先ず届かないような所だ。
リシェルがびっくりして声を上げる。肩車をしても届くような位置ではない。
「アロエリ・・・僕を抱えてあそこまで行ける?」
「皇子様をあのような場所へお連れするくらいなら!オレが吊るしてきます!!」
落ちたら軽傷では済まないのだ。竜の子を守る御使いがそんな危険を犯すようなは所へ連れて行ってくれる訳が無い。
アロエリはコーラルに短冊を渡してくれるように説得をしようとした。
「お連れしてさし上げなさい。アロエリ」
「しかし!セイロン!!」
黙って見ていたセイロンがアロエリに連れて行くように促す。
アロエリは不満そうにセイロンを見た。リビエルも何かを言いたそうにセイロンを見ている。
「我にはお主が皇子殿を落とすなどといった失敗はしないと、踏んでおるのだが?」
扇子を広げるとアロエリに向かって言う。竜の子を守る御使いが守るべき竜の子に怪我を負わせるなどありえないはず。
ましてや真面目な性格のアロエリだ。コーラルを落とすなどそんな失態をするわけが無い。
コーラルもセイロンと同じ確信を持っていたのだ。
「それに皇子殿の願いはそれだけ叶って欲しいものだと我は思うておる」
「どうして・・・・?」
「なぁに。ちょっとした小言よ。願いを書いた短冊は、高い所へ吊るすと良い・・・・とな」
扇子で天井を指し示して言った。
コーラルはじーっと無言の訴えをアロエリに向けている。アロエリは多少困り果てている様子だ。
リビエルがなおも何か言いたそうなのをルシアンが必死に宥めていた。
「わかりました。お連れしましょう。今回だけですよ?皇子様」
コーラルの無言の訴えにとうとう折れたアロエリはしぶしぶ承諾してくれた。
今回だけという条件にコーラルはこくんと頷く。
セイロンの話が本当であっても、そうでなくても。何故だか高いところへ吊るしたらこの願いが叶うのではないか。
そんな確信も何も無い思いがコーラルの頭を掠めた。
探して、探して、やっと見つけたコーラルの願い事。
叶うかどうかはわからないけれどほんの些細な願い事を笹に、星に託してみるのも悪くわない。
自分の短冊を吊るすついでにセイロンの赤い短冊を探してみるが、高いところには見当たらなかった。
結局のところコーラルにも他の誰にも自分の願い事を教える気はセイロンにはなかったのかも知れない。
「みんなのお願い・・・叶うと良いな」
誰にも聞こえないように一人呟いてみる。自分の願いだけでなくみんなの願いも叶うと良いと思う。
みんなの願い事も、自分の願い事も巡る星がきっと叶えてくれるだろう。
必死に考えたコーラル自身の願い事。思えばすっと願い事を考えていた気がする。
そんな生まれて初めての七夕だった。































「フェアやみんなとずっと一緒にいられますように。ずっと、フェアの子供でいられますように
                                       コーラル」










































素敵な素敵な彼方の願い事。
きらめく星達が叶えてくださいますように。



















END























☆コメント☆



去年の七夕に出そうとしていた七夕小説です。結局間に合わなくてお蔵入りしてたやつを加筆修正しました。
コーラル中心です。セイロンとアルバが長く喋ってるのは・・管理人がひいきしてるキャラだからですよ。
って、コレは雑記ブログでも言ってましたねぇ。
「七夜」という言葉は、わかる人にはわかるでしょうね。ポケモンの映画のサブタイトルから頂きました。
何年か前の映画ですね。「七夜」という言葉の響きと文字の並びが気に入っています。
文中にセイロンが言っていた「笹の高いところに短冊を吊るすと願いが叶う」
コレは、ドラマかアニメかなんかで聞いた話です。本当にそういう言い伝えがあるかどうかはわかりません。
でも、そういうのが本当なら面白いなって思い今回の文中に使わせていただきました。





仲間達の願いを考えるのが楽しかったです。
この子なら・・・こう言うかな?っていろいろ考えました。本当は全部の仲間を出してあげたかったのですが、
話の進行上断念しました。ちなみに今回願い事を勝手に妄想したのは。
リビエル・アロエリ・シンゲン・ミント・アルバ・コーラルの6人です。
当初はルシアンとリシェルとポムニットも入れようとしてました。(笑)
セイロンは・・・あの人は多分完全に心を許した人以外には教えたりしないんじゃないかと思います。
主人公にさえ教えてくれなさそうです。
あと、グラット兄ちゃんもね。「お前には関係ないだろ////」とか言いながら、書いた短冊は笹の中のほうに
隠すんです。どうせ、「今年こそミントさんと・・・」みたいな事が書かれてるに決まってます。(笑)
どうせ、グラット兄ちゃんは毎年同じことしか願わないんです。それほどミントさんが好きなんですね。






そして、リインバウムに「七夕」いう風習があるのが1番の難点ですね。
まぁ・・アレですよ。4の主人公はお父さんが異世界(日本らしい)の人間で、日本の事を子供に教えてるんです。
だから、「七夕」も多分教わってるんだろうなって。
それに、鬼妖界(きようかい)シルターン出身のキャラもいますしね。勝手な妄想ですが、そうであって欲しいです。
みんなでわいわい「七夕」やってるといいな。





それでわ。最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました!!
皆さんの願いが叶いますように。今年は天の川が出て、伝説通りに織姫彦星が出会えると良いですね。
おまけで、↑で言ってた3人のお願い事の捏造だしときます。






















ルシアン→「フェアさん(主人公)よりも強くなって・・・・」


リシェル→「これからもフェア(主人公)の美味しいご飯が食べたい」


ポムニット→「お嬢様とお坊ちゃまが危険な目に会いません様に。そして早く戦いが終わりますように」


ルシアンの短冊には最後に小さい字で「フェアさんを守りたい」とか書いてあると良い。
リシェルは何も考えずにご飯の心配してれば良いよ。
ポムはやっぱり、リシェルとルシアンの心配してるんだと思います。
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自己紹介:
小説家の卵の卵な管理人です。
日々精進、有言実行を夢見て生きてます。
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