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☆Last Up 2013.12.25 版権「※BL注意※欲しいものは一つだけ-2013 A・ミシェル生誕SS-
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※こちらはぬるい・・・というかほぼギャグに近いですが、ポップンのBLカプ話が出てきます。苦手な方はご注意下さい。





















「はぁーーーーーーー」
学校に着くなりドサッと机の上に鞄を置き、うな垂れるようにため息をついた。いつも元気なキャロにしては珍しいと、アリスがキャロの顔を覗き込む。
「どうしたの?」
椅子に座り頬杖を付くと、キャロはアリスを見上げた。
「聞いてくれるか・・・?親友よ・・」
「聞いてあげるわよ」
キャロの前の席の椅子を引っ張りだすと、向かい合うように座る。
「実はね・・・・」








昨日の話だ。
キャロは部活を終えると、まっすぐに家へと向かう。途中の道でアリスと別れた後も寄り道などしなかった。そのせいか、いつもよりも早く自宅へ着いてしまったのだ。
鍵を開け、玄関に入ると兄のヒューの靴の横に黒い男物の靴が一足置いてある。
(ミシェルさん来てるんだ・・)
ミシェルが来ていることは不思議なことではない。兄のヒューの恋人だからだ。革靴を脱ぎ、廊下を歩くと戸が閉まっているリビングの向こうから、なにやら言い争い・・・・というのか。ヒューの大きな声が聞こえてくる。
「ちょ・・・ミシェル・!!もうすぐ、キャロが帰ってくるんだから!!」
(もう、いるんですけど・・・)
「今更じゃないですかー」
(そうそう、今更だっての)
必死にミシェルの魔の手から逃れようとするヒューと構わずにヒューに悪戯をしようとするミシェルの声。キャロはそーっとドアを開けると、壁をコンコンと叩いた。
「ダメだって!!キャロが帰ってくるんだか・・・・・・・・ら?」
キャロが引きつった顔で廊下に立ってるのを見て、ヒューは青ざめている。
「キャロさん、お帰りなさーい」
「ただいま、です」
それだけ言うと、キャロはにっこりと笑って無言でドアを閉めた。
付き合っていられない、そう思ったのだ。後ろで助けを求めるヒューの声が聞こえたが、あえて無視をした。










「と。言うわけなんだよね」
はぁ、ともう一度ため息を付く。
「それは・・・なんというか」
「別に、ミシェルさんと兄ちゃんが付き合ってるのが嫌なんじゃないのよ」
本人達がそれでいいのであれば、ヒューの恋人のことは何も言うつもりはない。むしろ、天然な兄にミシェルが付いていてくれるのはありがたいくらいだ。ただ。
「たださ、ああいうときの兄ちゃんって。私より可愛い顔してんのよ」
今までに何度か昨日のような場面に遭遇したことがある。その度に、そう思っていた。
「・・・・・マジで・・・?」
「(コクン)」
キャロはどっちかというと父親似で兄のヒューは母親似だ。もともと綺麗な顔立ちをしているヒューだが、ミシェルに悪戯をされている時はさらに美人度が増す。
「それが、ムカつく」
女の自分より、男である兄の方が綺麗と感じてしまうことが無性に悔しくて尚且つ腹立たしい。
女のプライドが、傷付けられているようなそんな気がする。
アリスはなんて声をかけたらいいのかわからず、ただポンと肩を叩くしかなかった。
「苦労してるんだね・・・」
「まぁね・・・・」




そんなキャロの悩みはこれからも尽きることは無いのかも知れない。
















続くかも知れません。










☆コメント☆

ミシェヒュ雑記もといキャロの受難雑記(笑)
あ、キャロって誰じゃい!って方はえーと・・・・なんて説明しましょう。
CS9を持ってる方で1度でもアリスを使った事のある方は知ってると思うのですが・・・。
アリスのフィバアニメとフィバクリ時にチラッと出てくる青髪の女の子です。公式のアリスのページを見ていただければきっとわかるかと!こちらからどうぞ。
私の中ではキャロはヒューの妹設定です!ってか、ほとんどのヒューサイトさんはそうなんですね。
キャロもソロで出ればいいのに。←なんか言った



カッコ可愛い兄に、大好きだけどちょこっとだけコンプレックスを感じてるといいです。
天然な兄としっかりした妹。んで、母親似の兄と父親似の妹。時折綺麗に見える兄に女としてのプライドを傷付けられてます。
でも、私的設定ではヒューに負けず劣らずキャロもかなりの美人さんです。美人兄妹なんです。





でわ、読んでくれた方ありがとうございました。
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ありがとう、ありがとう



深い、深い意味を持った言葉



嬉しい気持ちを伝える言葉



感謝の言葉  労いの言葉



一生懸命にやってあげた時



「ありがとう」



そう言われると、誰でも



笑顔になる  嬉しい気持ちになれる



明日を生きる勇気に希望になる



もう一度歩き出すきっかけになる



毎日を一生懸命に生きる全ての人へ



この言葉を捧げよう



この世の何処かで頑張っている彼方へ



「ありがとう」















☆コメント☆

今日、お客様に言われてすごく嬉しかった言葉です。
未経験の仕事で、しかもたった2日目で、他のスタッフに迷惑かけてないなんてはずがない。
ちゃんと仕事が出来ているかどうかさえわからないのに。
そんな新人の私に、お客様が言ってくれた一言。「ありがとう」この一言が泣きたくなるほど嬉しかった。頑張ろうって、思えた。
お客様は私が新人だなんて知らないかもしれないし、関係ないかも知れない。
でも、「ありがとう」この言葉は新人の私にとって何よりも嬉しい言葉。
あのときのあの気持ちは、忘れないでいたいな。今のバイトは何時まで出来るかわからないけど。
「ありがとう」って言葉は誰かを元気付ける、勇気付ける言葉であって欲しい。
感謝を伝える言葉であって欲しい。そんな思いです。
読んでくれた方ありがとうございました。





傍によると漂ってくる石鹸の香り










優しく笑って、時には強く叱ってくれる人










戦いになると身体を張って僕を守ってくれる人












僕の大好きなお母さん









暖かい日差しが差し込んでくる。
僕は眠い目を擦りながら、ベッドから出た。隣を見ると、お母さん・・・・フェアはもう居ない。
耳を澄ますと、パタパタと走り回っている音が聞こえた。
顔を洗って食堂に行くといつものみんながもう席に付いていた。多分、僕が一番最後。
「おはようございます!皇子様」
御使いである天使の女の子リビエルが僕に挨拶する。
僕は相変わらずの小さな声でおはようと返した。
「めっずらしわねー。アンタが寝坊するなんて」
ちょこんと席に着くと、僕の向かいに座っているリジェルが不思議そうに僕の顔を覗き込んだ。
何故だか、リシェルの隣にいるルシアンも心配そうな顔をしている。
リシェルと弟のルシアンはフェアの幼馴染でぶろんぐす家のお嬢様とお坊ちゃまなんだって。
「誰か運ぶの手伝ってー」
厨房からフェアの声。
僕は早くフェアに「おはよう」って言いたくて、椅子から降りると走って厨房まで行った。
「ああ!皇子様!走ったらいけませんわ!!」
「はっはっは。良いではないかリビエル」
「でも!!」
走り出した僕を慌てて止めようとするリビエルを御使いの一人であるセイロンが諌めた。
なんだか、セイロンには僕の心を見透かされてる気がする・・・。
ひょこっとドアから顔をだして、忙しそうに動くフェアの後姿をみる。
厨房からはスープのいい匂いがした。声をかけずにじーっと見ていると、視線に気付いたのかフェアがこっちを振り返った。
「コーラル?どうしたの?そんなところで」
僕に気付いたフェアはきょとんとした表情で僕を見る。
「フェア・・・・おはよう・・・」
「うん、おはよう!コーラル」
小さな声で「おはよう」と言った。フェアはにっこりと笑顔で返してくれた。
当たり前のことなのに、僕はそれがとても嬉しい。御使い達も他のみんなも同じように挨拶してくれるのに、フェアのときだけはなんだか妙に嬉しいんだ。
照れくさくってちょこっと下を向いちゃった。
「僕、お手伝い・・・する」
「ありがとう。じゃあ・・・・パンの入ったバスケット、持てる?」
みんなが食べるパンが入った大きなバスケット。僕は両手をいっぱいに広げてフェアから受け取った。今日のパンはフェアじゃなくてアルバのかな・・・?
「コーラル?大丈夫?」
「・・・うん・・・」
パンをじっと見つめていると、フェアが心配そうに言った。僕はバスケットごと頷く。
足元が見えないけど、多分大丈夫・・・かと。
「まぁ!!フェアったら、また皇子様に手伝わせて!!」
食堂に戻ると、バスケットを持ってる僕を見てリビエルが叫んだ。
「僕が・・・・手伝うって・・・言ったんだよ」
慌てて近寄って来たアルバにバスケットを渡しながら、僕はリビエルに言った。
リビエルはちょっと不満そうな顔をしていたけど、後ろに居るセイロンはニコニコしてる。
やっぱり・・・・・見透かされてる気がする・・・・。
「偉いな!コーラル」
テーブルにバスケットを置いたアルバが僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
アルバはなんだかお兄さんみたいだ。
「しょーがないわねー。コーラル!フェアのとこ行きましょ!」
かたんと音を立ててリシェルが立ち上がった。続いてルシアンも。僕は二人に付いてもう一度フェアの居る厨房へ行った。













フェアが切り盛りしている宿屋さん。
僕達のお家。
朝ごはんが終わると、休む暇も無く今度はシーツとかの洗濯が始まる。
僕は洗濯しているときにフェアの傍に居るのが好き。石鹸の匂いはお母さんの匂いだから。
洗濯したシーツをそっとフェアに差し出した。フェアはにっこり笑ってそれを受け取ってくれる。
その後のお店番もお買い物も付いていった。フェアは全然迷惑そうな顔をしなかったけど、迷惑じゃなかったかな・・・・。
「フェア」
「何?コーラル」
お買い物帰り道、僕はフェアに聞いてみる事にした。
「僕・・・迷惑じゃない・・?」
突然の僕の質問に、フェアは一瞬だけ驚いた顔をしたけど。
すぐににっこりと笑い返してくれた。
「迷惑じゃないよ。全然、むしろ嬉しいぐらいだよ」
フェアは本当に優しい人だな・・・・。僕は買い物袋を持ち直して、照れて下を向いた。
僕が聞きたいこと。もう一個在る。
「フェア」
「ん?」
僕がどうしても気になること。それは・・・。
「フェアはずっと働いてるけど、何時休んでるの?」
まっすぐにフェアの薄い灰色の瞳を見つめた。フェアはさっきとは違う、でも驚いた顔をしてその場に立ち止まってしまう。
みんなのご飯の準備も洗濯もお買い物もお店の掃除もほとんど一人でこなすフェア。
戦いになれば僕を守るために、みんなの先頭になって戦って、戦闘訓練だって欠かさない。
疲れていないはずが無いのに、いつも笑顔。
「コーラル?どうして、そんなこと聞くの?」
「いつも、フェアは・・・無理をしているから」
疲れた表情なんて絶対に見せないフェア。僕達に心配をかけないためだってわかってる。
でも、辛いときはせめて僕にだけは言って欲しいよ。
フェアは今度は困ったように笑った。
「困ったな・・・コーラルには、全部お見通しだったんだ・・・」
「僕だけじゃない・・・よ。セイロンも・・・・アルバだって気付いてる」
働くフェアの後姿をアルバが心配そうに見てるのを見かけたことがある。
僕の方がフェアといっぱい一緒に居るのに、フェアが無理をしているのに先に気付いたのはアルバだった。ちょっと、悔しい・・・。
「これからは・・・・僕もお手伝い・・・する・・・ダメ?」
フェアの負担が少しでも軽くなるなら、僕もお手伝いをしようと思う。
リビエルとかアロエリに怒られても、お手伝いをしようと思った。
だって、フェアは僕のお母さん。大好きなお母さん。無理はしないで欲しいんだ。
「・・・ありがとう・・・コーラル」
少し俯いてフェアが言った。声が少しだけ震えている。
フェアのほっぺに涙が伝っていた。
「悲しいの・・・?」
「違うよ。嬉しいの」
涙を拭きながら、また困ったように笑う。僕はフェアに駆け寄ってきゅっと抱きついた。
そんな僕をフェアはそっと抱き返す。
石鹸の匂いがする。お母さんの優しい匂い。
「お母さん・・・・大好き・・・」
「うん・・私も」
大好きな僕のお母さん。無理はしないで、僕が傍に居るから。
お母さんの力になれるようにがんばるから。
お家に帰ったら、遅いって怒られちゃったけど。僕は少しだけ嬉しい気分だった。
フェアも同じ気持ちだったら嬉しいけど、どうかな?
ちらりとフェアを見上げると、少しだけ嬉しそうな横顔。同じ気持ちだって思っても良いよね?
お母さん。








今日も僕が目を覚ますと、隣にはフェアは居ない。
でも、僕は真っ先にフェアの居る厨房へ行くようになったんだ。フェアの・・・大好きなお母さんのお手伝いをするために。一番最初に「おはよう」っていうために。
これからも、僕にいっぱいお手伝いさせて・・・・・フェア。












END











☆コメント☆

サモンの初SSです。今回はコーラル視点ですよー。
コーラルとフェアなのは私のお気に入りコンビ、というか一週目がこのコンビだったからです。
アルバとセイロンがなんかいっっぱい出てきたのは、単に私が彼らを好きだからです。(笑)


登場人物視点で書くのは・・・・やっぱり難しいですね。
文が続かないのです・・・・。ちょっとグダグダな感じで申し訳ない。勉強してきます。
さて、今回のSSはコーラルがフェアのお手伝いをしようって思ったきっかけみたいなのを私なりに妄想してしまいました。
竜の子と主人公は純粋な親子関係がいいです。特に本編中は!
可愛い息子(娘)なんだよ。なんとなく、恋人関係にはならないで欲しいです。最終戦後は竜の子が主人公に一方的に片思いしてると良いなぁ・・・。
親子関係万歳。(笑)

あ、サモン4がわからない方は公式行ってみてくださいね!



でわ、最後まで読んでくれた方ありがとうございました!!
とりあえず、前置き

こちらは、「みんなの歌」「ポップンミュージック16」に収録されている「月のワルツ」を元に制作した創作小説です。
全て管理人の妄想により出来てしまった物のため、企業さま・歌い手さまとは全くの無関係です。
全て管理人の自己満足によるものです。読む方によっては本家様のイメージが崩れてしまうかも知れません。
登場するキャラクターなども管理人が勝手に作ったものなので、本家様には登場しません。お間違えの無いようにお願いします。





「勝手に創作!!!けしからん!!!」って方はプラウザバックまたは窓を閉じましょう。

「勝手に創作?どんとこいや!!!!」って方はそのまま↓へどうぞ。






















































さぁ、月夜の舞踏会の始まりだ



















ご婦人は綺麗に着飾って
紳士は格好よくビシッと決めて

























招待状をお忘れなく
























―蒼い月夜の舞踏会―










「お休みなさい。リズ、また明日」
パチンと部屋の電気を消す音がする。
「お休みなさい。ママ」
ベッドに横になった少女リズは、閉じられていく部屋のドアに向かって言った。
扉の隙間から、微笑む母親の顔が見えた。
リズは瞳を閉じ眠りに入ろうとしたが、すぐに目を覚ましてしまう。
「やっぱり、まだ眠りたくなんて無いわ」
身体を起こすと小さく呟いた。傍らに倒れているウサギのぬいぐるみを抱き上げると、そっとベッドを抜け出した。
真っ暗な部屋の中をそろそろと窓辺に近づいて行った。
「わあぁ・・・綺麗なお月様」
カーテンに頭を突っ込んで窓の外を見ると、外には蒼白く輝く月がリズを出迎えた。
外は夜のはずなのに月明かりのせいだろうか、昼間のように明るい。





―月夜の舞踏会の始まりだ―





突然、風がサァーっと吹くとそれと同時に声が聞こえた。
リズは慌てて後ろを向いて部屋の中を見た。そして、今度は窓の外を見渡してみる。しかし、人の気配など全くしない。
「ウサギさんにもお月様を見せてあげるね」
抱えていたウサギのぬいぐるみを自分の顔と同じ高さまで、持ち上げた。

カサリ

「ウサギさん・・・何か持っているの?」
ウサギのぬいぐるみの手には何か封筒のようなものがくっ付いていた。
不思議に思いながらも、ぬいぐるみから封筒を取ると月の光に透かした。
中には紙が入っている。
黒い文字で何か書かれているが、月の光に透かしただけでは何を書いてあるかなどさっぱりわからない。




―今宵、蒼い月夜の舞踏会に彼方を招待いたします―




封筒の中にはメッセージカードが一枚。
差出人も宛名も何一つ書いていない。
ふと、蒼白い月を見上げた。まるで、出て来いというかのように月は一層輝きを増している。
リズは部屋のドアへ近づくと、そっと聞き耳を立てた。
両親が何時リズの部屋へ様子を見に来るかわからないからだ。
今日はまだ一回も様子を見に来てはいない。すると、トントン・・・と階段を上がってくる音が聞こえた。
「パパだわ!」
リズは慌ててベッドへ潜り込んだ。

ガチャリ

リズの部屋に誰かが入ってきた。
「リズ、ちゃんと寝ているね。よしよし」
足音の正体はリズの予想通り父親だった。父親はそっとリズの頭を撫でると、すぐに部屋を出て行った。
父親が部屋のドアを閉めることを確認すると、リズはまたベッドを抜け出して窓辺に近づく。
もう一度、月を見上げると先ほどと全く変わらない、蒼白い光を放っている。
出ておいで・・・そうリズに誘いかけているように。
リズはクローゼットから薄手の上着を引っ張り出すと、ウサギのぬいぐるみを抱えたまま、窓から身を乗り出した。
下を見ると、予想以上に高さがある。
足を滑らせないようにゆっくりと、屋根の上へと降たつ。
「えいっ!」
怖くて瞳を瞑ったままだったが、屋根の上からリズは一気に庭へ飛び降りた。
土の固くて痛い衝撃を覚悟していた。
しかし、着地の瞬間。まるでケーキを踏んだかのようにふわふわしていたのだ。驚いて足元を見ても、芝生があるだけ。
ポンっと踏んでみても、さっきとは違う固い土の感触があるだけだった。
呆然と立ち尽くしていたが、ふとリズは何かに導かれるように走りだした。
道なんてわからないはずなのに、リズの足は自然と何処かへ向かっている。
そう、蒼白い月の光にでも導かれているように。







角を曲がり、坂を駆け下り、大通りを横切る。
知っている町のはずなのに、何処か知らない町へ迷い混んだかのように、町全体が静まり返っていた。
走って、走って、ようやっとリズが立ち止まった時。
「こんばんわ、お嬢さん」
知らない青年の声に急に呼び止められたのだった。
後ろを振り向いても、まっすぐ前を向いても、人一人見当たらない。一体、自分を呼ぶのは誰だろうか?リズは
今度はぐるりと周囲を見渡した。
「こちらですよ。お嬢さん」
もう一度青年が何処からかリズを呼ぶ。
リズは自分の影の後ろにもう一つ自分より大きな影があることに気付くと、街灯を見上げた。
すると頼りなく灯る街灯の上から、見知らぬ青年がまっすぐにリズを見つめているではないか。
「彼方・・・誰?」
「こんな夜更けに、貴女のような若いお嬢さんが何処へ行くのですか?」
リズの質問には答えず、青年はリズに自分の質問を問いかけてきた。
ウサギのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて、リズは青年を見る。
青年はウサギのぬいぐるみを見て、おやと小さく首を傾げた。
「その封筒は・・・・貴女は招待客でしたか」
「え・・?」
青年はさっと、何メートルもあろうかという街灯の上から飛び降りるとリズの目の前に着地した。
蒼白い月の輝きが逆光になっていたせいでよく見えなかった青年の姿が、今度は月明かりに照らされてよく見える。
リズはその姿にはっとした。
「あの・・えっと・・・・」
「ああ、この姿ですか?失礼、お嬢さん。驚かせてしまいましたね」
リズの驚いた表情を見て、青年は困ったように笑う。
リズが驚くのも無理は無いだろう。青年の姿は、あまりにもリズとは違っていたのだから。
タキシードにシルクハット、キラキラと宝石が輝くステッキ。普通に見れば人間だ。
しかし、青年には大きなウサギの耳とお尻には小さな尻尾が付いている。
「お嬢さん、その封筒を見せていただけますか?」
リズが抱きしめているウサギのぬいぐるみを指差した。ぬいぐるみには謎の招待状がくっついたままだ。
「はい」
リズが差し出すと、どうもと小さくお辞儀をして青年は封筒を受け取った。
封筒の中からメッセージカードを出すと、ちらりと何かを確認している。
「ありがとうございました。それでは、お連れいたしましょうか」
封筒をリズに手渡すと、青年は反対の手をリズに差し出す。
この招待状になんの意味があるというのか、リズが躊躇していると青年は何かを悟ったようにリズに笑いかける。
「貴女は今夜の舞踏会に招待されたのですよ。その封筒が招待状です」
青年が封筒を指差した。
リズは封筒の中身のメッセージカードに書かれていた言葉を思い出してみる。



―今宵、蒼い月夜の舞踏会に彼方を招待いたします―



確かに、そう書いてあった。リズを蒼い月夜の舞踏会に招待すると。だが、リズには気がかりなことがある。
「でも、宛名も差出人もないのよ?本当に、私宛なのかしら・・・?」
リズが不審そうな瞳を向けると、青年は再度困ったように笑った。
「ならば、貴女はどうしてここにいるのですか?」
「それは・・・・」
月に呼ばれたような気がしたから・・・・リズは心の中で思う。
いつの間にか自分の元へ届いた招待状。
何処かから聞こえた誰かの声。
リズに何か訴えかけるような月の輝き。
何かに呼ばれたようにしてリズは家を抜け出してきたのだ。
そして、何かに導かれたようにこの場所まで走ってきた。
「月が・・・私を呼んだの・・・?」
「それが答えです。どうしますか?」
青年はもう一度リズに手を差し出す。
青年の手を取ればどうなってしまうかなど、リズには想像できない。
しかし、手を取らなければここまで来た意味がなくなってしまう。
青年を見上げれば、優しそうな笑顔を返される。
月を見上げれば、まるで「おいで」というかのように輝くだけ。
「どうされますか?」
もう一度青年がリズに問う。
「行くわ。私を連れて行って!」
リズは青年の手を取った。
知らない人について行ったら行けないよ、両親の言葉がリズの頭を過ぎる。
いつもはその云い付けをちゃんと守っているが、今日だけは破っても大丈夫。そんな気がしていた。
この青年を信じても大丈夫か、保障など無い。何より、リズは自分の直感を信じることにしたのだ。
「かしこまりました。お嬢さんお名前は?」
「リズよ。彼方は?」
「私は、レイノと申します。以後お見知りおきを」
レイノと名乗った青年は、自己紹介も早々にリズを抱き上げると、クルリとステッキを一回転させて見せる。
すると、風が一気に二人の周囲を駆け抜ける。
リズが驚く暇も無く、二人の姿はその場所から跡形も無く消えてしまった。



―出席者は集まった。紳士淑女のお客様、蒼い月夜の舞踏会へようこそ―



消える瞬間、そんな声がリズに聞こえた。







2へ続きます

今日はSSでは無く詩の雑記です。

 

 

 

 

 

叫んでも叫んでもこの声が誰かに聞こえることは無い

 

 


そう思ってた

 

 


でも、キミはきてくれたね

 

 


涙で濡れた、震えるこの手を握ってくれた

 

 


「僕が傍に居るよ」

 

 


そう言って、一緒に泣いてくれた

 

 


なのに、ねぇどうして?私を置いていってしまうの?

 

 


お願い、お願い・・!!!この手を離さないで!!

 

 


キミの姿が遠ざかっていくの・・もう見えない

 

 


キミもみんなと同じだったんだ

 

 


私を置いていってしまうのね

 

 


お願い、お願い・・・!!帰ってきて

 

 


涙で濡れた、震える私の手を握って

 

 


あの時みたいに強く、強く

 

 


キミが居てくれないと嫌だよ・・・・

 

 

 

 

 


☆コメント☆


昨日舞い降りた詩のようなもの。
ボカロ曲の聴きすぎなのでしょうかねー。鏡音さん家のリンちゃんが歌ってくれてるのがぱっとイメージされてしまいました。
我が家にリンが居たら頑張って歌ってもらうんだけどなぁ・・・・。
居ないから。ピアプロにでも置いてみようかと思います。え?歌詞にしては短いって?実は続きがあったりするのですよvv
しかも、かなり短縮されてるのでもう少し付け足したいと思います。

 

今回短いまま書いたのは、あくまでこれは雑記だからですよ。
最初は歌詞のつもりじゃなかったんだもん・・・・。うん、本当に。
もうちょいまとまったら、ピアプロに置いてみます。絵描いてからですね。一応ピアプロ初投稿は兄さんにしたいので。

 


ここで、詩の解説みたいなもの。()はリンレンに置き換えた場合のものですよ。

一人ぼっちの「私」。寂しいって叫んでも叫んでも誰にも届くことなんて無い。だって、周りには自分一人しか居ないから。
(リンが主役の場合はパソにリンレンしかインストールされてない状態です。リンがレンの存在に気付いていないと思って下さい)


寂しさに震えて、泣いているときに「キミ」が現れます。
(レンが一人ぼっちのリンを見つけたような)
傍に居るよって、言って一緒にいてくれる「キミ」でも、突然「キミ」が「私」の傍から居なくなってしまう。
(レンがリンを置いて姿を消してしまう)


「私」はまた一人ぼっちにされてしまい。寂しいと泣きます。
泣いても、泣いても。叫んでも、叫んでも。「キミ」は戻ってきません。
(また一人ぼっちのリン。レンに戻ってきて欲しいと一人泣きながら叫びます)


一人ぼっちは嫌だ。「キミ」に傍に居てほしい。そんな風に願っています。
(一人ぼっちにしないでってリン。レンが戻ってきてくれるように願っています)

 

ざっと書くとこんな感じです。リンレンがわからない方はニコ動かクリプトンとかで検索していただければと思います。
でわ、読んでくださった方。ありがとうございました。

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ゲーム(ポップン・サモン・ポケモンetc) 小説執筆 お絵描き
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小説家の卵の卵な管理人です。
日々精進、有言実行を夢見て生きてます。
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